相知すだち文学賞 募集結果 概要
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受賞者
○相知すだち文学賞大賞(1点) 賞状及び賞金3万円
「巣立ちの予感」 仁平井清次さん(67) 東京都杉並区
○相知すだち文学賞優秀賞(2点)賞状及び賞金1万円
「父母の決断」 甕岡裕美子さん(39) 東京都中野区
「時の流れに苦笑い」 安達光幸さん(45) 埼玉県所沢市
○佳 作 (10点) 賞状及び賞品(すだち製品)
上 さん の 短歌
明日の朝 嫁ぐ娘が夜の更けて 部屋を清むる 掃除機の音
中野さん の 川柳
あれこれと 荷物を持つと 巣立てない
中村さん の 川柳
定年後 妻から巣立ち ままならず
. ○相知すだち文学賞大賞 .
「巣立ちの予感」 仁平井清次さん(東京都杉並区)の作品
「お母さんに一度会っとこうね」夏休みに入ったある日叔母から声をかけられて
僕は嬉しくて小躍りしたのを覚えている。駅を下りて白茶けた埃っぽい夏道を歩い
て行くと長い塀の続く病院があった。消毒の匂いの立ちこめる病室の奥に痩せてし
まった母がいた。「よく来たね」かすれて苦しそうな声だったが微笑みかける母に
僕は黙っていた。母に手招きされて近寄ると筋ばった手が伸びてきて僕は引き寄せ
られた。抱きかかえている母の手は病人と思えぬ力強さがあった。
僕の頭を静かに
撫でてくれる感触がたまらない心地よさだった。
母といる時間はそう長くなかった。「今日はこれぐらいにして又来ようね」叔母に
促されて母から離れる時僕は何故かもう母に二度と会えないのを幼心に直感していた
気がする。病室を出るのに不思議にためらいはなく振り返る事もしなかった。
母と会えて気持ちが吹っ切れたせいで悲しみは消えていた。数日後母の死を伝えら
れても涙は出なかった。
今思い返してみると母との永遠の別れを予感したときが私の幼児期への決別であ .
り少年への巣立ちだった。「戦争なんだけど戦争じゃあないから支那事変って言うん
だってさ」友とそんな会話をしていた遠い日の記憶である。
「絵手紙」入選作品 望月紀江さん(東京都練馬区)の作品
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詳しくは「相知町屋根のない博物館」 のページをご覧ください
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