高血圧の相談においでの
「山田さん」どうぞ

先生、私の血圧、170と95だそうですよ。
山田さん、血圧が高いようですね。 もう一度血圧を測ってみましょう。 5分ほど静かに椅子にすわっておいてください。 では、測りますよ。・・・今度は150と88mmHgです。
測るたびに違いますね。 血圧って当てにならないな
そんなことないんですよ。血圧は、体を動かしたり、緊張したり、話したり、気温や体温などいろんなことがきっかけで、いつも変化しているのです。 測るたびに違うのは当たり前のことなんです。
先生、血圧って何なんですか?
血圧というのは、血管の中を流れる血液が、血管の壁を押している力のことです。 心臓は血液を全身に送り出すポンプだということはご存じですね。 心臓が収縮して血液を送り出した時の圧が収縮期血圧(上の血圧、最高血圧)で、心臓が拡張した時の圧が拡張期血圧(下の血圧、最低血圧)です。
血圧はいつも変動しています。 ですから高血圧の診断の為には、先ほどのように5分ほど安静にした後、2〜3回測って平均して、さらに別の日にもう一度測って判断します。
血圧がいくらぐらいで高血圧というんですか?
  単位mmHg 収縮期血圧 拡張期血圧
軽症高血圧
中等症高血圧
重症高血圧
140以上
160以上
180以上
 90以上
100以上
110以上
普通、収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上で高血圧を考えます。
ただ、若い人や糖尿病のある人では収縮期血圧130mmHg以上拡張期血圧85mmHg以上も高血圧と考え、早めに指導や治療をしていきます。

若い頃は血圧低かったのになあ。 年をとると高くなるんですか?
高血圧の原因は何ですか?
高血圧の患者さんのほとんどは原因のはっきりしない本態性高血圧です。 腎臓病やホルモンの病気などが原因の二次性高血圧は少ないですね。 原因がはっきりしないといっても、そこには遺伝や日常生活の不摂生(塩分のとりすぎ、肥満、運動不足、ストレス、過度の飲酒など)が関係していることが多いようです。
若い頃血圧が正常でも、血圧は年齢とともに高くなる傾向がありますので、高血圧が心配な人は、できるだけ頻繁に測るようにしたいですね。
うちの親父さんも高血圧だったからなあ。
そうですか。 普通両親のうち1人が高血圧の場合、その子供の3分の1は高血圧になるし、両親とも高血圧の場合約半数が高血圧になるといわれれています。これは遺伝や小さい頃からの食生活なども関係しています。 だからご自身が高血圧の場合、家族ぐるみで生活習慣を改善していかないと、御子孫も高血圧の危険性に悩まされることになりますよ。
高血圧に症状というのはありますか?
高血圧は症状が無いのが特徴です。そのため治療を途中でやめてしまって、あとでこわい合併症に悩まされる人が多いようです。 早めに適切な治療を始めて、それを続けることで、健康的な生活が続けられるのに、 治療をせず放っておけば、心臓・脳・腎臓などに障害が起きてしまいます
高血圧が進行して合併症がでてくると、めまい・頭痛・むくみ・視力低下などの症状がでます。
症状がでない前から、血圧に関心を持って養生して下さいね。
高血圧を治療しないで放っておくとどうなりますか
高血圧の合併症
1.高血圧性心臓病
2.狭心症・心筋梗塞
3.脳梗塞・脳出血
3.目の病気
4.腎臓病
  など
高血圧は、長い間放っておくと、心臓の壁や血管の壁が厚くなって、心臓肥大となり、狭心症心筋梗塞、不整脈、心不全を起こす可能性があります。 また脳出血脳梗塞、目の病気、腎臓病などを引き起こし、寿命を縮めたり、寝たきりになったりする原因にもなります。
でも、治療をすれば、その危険性がずいぶん低くなるんですよ。
高血圧の治療の目的は、恐い合併症の予防にあるのです。
寝たきりにならないためにも注意しなくては。
そうですね。定期的に血圧測定や、尿検査、血液検査、心電図、胸のレントゲンなどの検査を受けて下さいね。
特に、高齢者、喫煙者、肥満、高脂血症・糖尿病などの合併、運動不足、家族に若くて脳卒中や心臓病になった方がいらっしゃる人は要注意。 血圧をコントロールしておかないと、今後、脳卒中や心臓病になる可能性が大変大きくなります。 高齢者では140-90mHg未満、若年者や合併症をお持ちの人は130-85mmHg未満まで血圧を下げておいた方がいいでしょうね。 ただ高齢者で脳の血流が低下している人は少し高めに保つこともあります。
ご自宅でも、できれば血圧計を買って毎日測った方がいいですよ。
血圧計は買ったんですが、自宅で測るのと病院で測るのと違うからなあ。
家庭用の血圧計は機械が音をひろうので、実際聴診器を使って耳で聴いて測った血圧と若干違います(10〜30mmHgほど低い)。 ですが、毎日測ることで、家の血圧の平均はいくらだから、今日は高いとか低いとかの目安として考えるといいと思います。 それで今日は安静にしようとか、塩分を控えようとか生活面での自己管理に役立つといいと思いますよ。
高血圧の治療には何がありますか?
高血圧の治療は、まず生活習慣を改めることから始まります。その上で血圧が高い人や、血圧が低めでも糖尿病や心臓病などの合併症がある人は、お薬による治療が必要になります。 それぞれの人に合った治療法を医師が指導いたしますので、よく相談して治療を続けるようにして下さい。
生活面での注意点は何ですか?
生活習慣の注意
1.塩分の制限 (1日6g以下)
2.肥満の改善
3.禁煙!
4.アルコールの制限
5.適度な運動を毎日30〜45分程度行う
6.ストレスを避ける
7.高脂血症、糖尿病などの生活習慣病があればその治療
生活習慣については、次のことを守って下さい。
私は塩辛いものが大好きでして、塩分6gはむづかしいな。
確かに大変ですね。 たとえば、たくあんは2切れで食塩2gになるし、明太子半切れで2.5g、みそ汁1杯で1.6g、塩鮭1切れで4g、ラーメン1杯4g、つきみうどん5g、にぎりずし5g・・・
リンク:やはり塩分はひかえめに(萬有製薬)
私の好きなものばかりですよ。 そんなに塩が多いなんて。 これから何を食べたらいいものか・・・
ちょっとした心遣いで、結構塩分は減らせるんですよ。
食べ物の塩分を減らす工夫
1.食卓にしょうゆや塩を置かない。
2.加工食品はなるだけ使わない。
3.外食はできるだけ控える。 外食では、なるだけ定食を選ぶ。
4.ラーメン・うどん類のつゆや、どんぶりものの味の濃い部分は残す。
5.新鮮な素材を使い、塩以外の香辛料や酢・だしを使って味付けする。
6.塩はなるべく使用せず、食べる直前に少量の減塩しょうゆなどで味付けする。
他にも、いろいろアイデアがあります。 あとは努力と工夫ですね。
リンク:高血圧の食事療法(萬有製薬)
薬は、どういう時にのむんですか?
お薬は、生活習慣の改善を指導しながら何度か血圧を測り、将来脳や心臓に重大な合併症をおこす可能性が考えられ、その危険を少しでも避けるために必要だと医師が判断した場合にお出しします。
ですから、自己判断でやめるにはあまり好ましいことではありません
それにお薬の効果はせいぜい1〜2日なので、のみ忘れて数日たつと、すぐもとの高い血圧に戻ってしまいます。
薬は続けてこそ、効果があるんですね。
その通りです。 高血圧のお薬は、効果や作用の違うものが色々あり、患者さんの病状に合わせて医師が選択してお出しします。 それに1日1回で十分効果があるお薬も増えてきましたので、医師によく相談して、一人一人に合ったものを選んでもらい、生涯治療を続けられるよう頑張って頂きたいと思います。
上手に血圧とつきあっていきたいですね。
本当にそうですね。 では食事や生活習慣に気をつけて、来週もう一度血圧を測ってみましょう。
自宅での血圧の記録も忘れずに。 お大事に。

ほーむ  待合室