染付草花文小皿           (天狗谷窯跡/1640年代)

 

 

(内面)

(外面)

 前回ご紹介した染付松文碗と同じA窯の物原から出土した染付小皿である。口径13.0cm、底径4.9cmで、底径/口径の比は0.38と高台幅はかなり小さめである。表面にはやや灰色がかった釉が掛けられており、内面は淡い色調の呉須で施文されている。文様は、二重の染付圏線で内外に区切り、内側には岩から生えた草と小さな丸い月(?)を描く。外側は三つの窓を設けて内部に花文を描き、その外部には簡略化された宝文を配している。窓内の花は、茎の部分に丸みのある葉を2枚程度配し、楕円形の花弁の両側から各3枚の葉が飛び出したような描き方がされている。こうした描き方は、窓内に描くことも含めて、1630年代後半〜40年代に流行しており、多くの窯に類例がある。
 また、この皿の見込みの中央左の1ヶ所には穴が開いており、外面まで貫通している。これは雨漏り痕と通称されるもので、窯詰めした際に窯内部の水滴が器面に落ちることによって生じるものといわれるが、確かなことは分からない。ただし、生掛け製品だけに見られる特長で、素焼きを行った製品にはこれまで例がない。

 




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