染付松梅文瓶            (天狗谷窯跡/1630年代)

 

 

(側面)

(側面)

 

 

 

 



       (底面)


 天狗谷窯跡といえば“これ”、というほどの定番中の定番の製品である。昭和40年代の発掘調査の際に、最も古いE窯の床面から数個体まとまって出土したもので、数々の出版物にも掲載されているので、ご覧になったことのある方も多いのではないか。
 ここであえて取り上げようと思ったのには理由がある。よく知られた製品なのだが、側面の松樹ないしは梅樹の片面だけが掲載されている場合がほとんどなので、別の製品だと思っている方も多いらしい。もちろん、底部が掲載されている出版物は皆無といっていい。
 口径約5.5cm、底径約6.5cm、高さは22.0cm程度で、やや青灰色を帯びる釉を掛け、胴部の片面に松樹文、一方に梅樹文を描いている。底部は刳高台状に0.3〜0.5cmほど浅く削り込み、幅0.7〜0.9cm程度の畳付を作りだしている。畳付の部分は無釉だが、白色の荒い砂が全体的に熔着している。数個体出土しているが、もう少し胴部が張るものなど、個々によって多少は形状が異なっている。

 




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