染付葡萄蔓草文瓶   (天狗谷窯跡/1650年代後半〜60年代)

 

 

(側面)

(底面)

 昨夏の発掘調査で出土した染付瓶である。出土地点は二次堆積層であるため、それ自体から年代の把握はできない。ただし、昭和40年代の発掘調査の際にも最も新しいC窯の物原から類品が出土しており、相対的には新しい時期の製品であることが分かる。
 天狗谷窯跡は、同時期の窯跡の中では際立って瓶類の生産の割合が高い窯であるが、ことにこうした口の開くタイプの製品は多い。しかし、最も古いE窯や続くA窯の瓶では刳り高台にしており、この製品のように高台を削り出すものは続くB窯以降である。
 口径、底径ともに5.7cmほどで、器高はおよそ20cm、出土資料の中では中程度の大きさである。文様は、高台側面と腰部、頸部に圏線を迴らし、頸部の圏線から上に向かって剣先状の文様、下に向かって葡萄蔓草文を配している。文様そのものは、この時期に比較的多用されており、葡萄蔓草文は碗などでも比較的多くみることができる。

 




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