染付色紙草文輪花中皿      (楠木谷窯跡/1650年代前半)

 

 

(内面)

(外面)

 
伝世品 小木一良『新集成伊万里』里文出版1993より転載

 発掘調査で出土する製品は、破片であるため全体の様子が分からないことも多い。その際、同じ種類の伝世品を探すことにより、その全体像が把握できるとともに、出土品の中から新たに別な部位を探す時の参考にもなる。
 上の中皿は、楠木谷1号窯跡の廃窯に近い時期の土層から出土しているもので、ほぼ同様な層位から出土する製品の中には「承応貮歳」(1653)銘のものが複数含まれる。破片であるため部分的なことしか分からないが、左のように同じ種類の製品が伝世している。
 ロクロで引いた皿を型打ち整形しており、口縁部には8方に型打ち陽刻の窓を配し、是武字文と通称される文字文を入れている。見込みには、色紙の中に草花文を描いているが、同様な形状や構図で色紙内の文様だけを変えたものが、楠木谷窯では多く出土している。外面には、胴部に唐草文を迴らし、高台内には一重の圏線と出土品では欠損しているが二重枠内に「福」銘が配されている。

 




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