染付山水舟文変形小皿      (楠木谷窯跡/1650年代前半)

 

 

(内面)

(外面)

 
伝世品            長径17.8cm
 
小木一良『初期伊万里から古九谷様式』
          創樹社美術出版1990より転載

 楠木谷1号窯跡の窯体埋土から出土している染付変形皿である。横9.0cm、縦9.5cmほどで、全体のほぼ半分程度が遺存している。
 内面には、右隅に寄せて岩とそれに隠れるように配された一艘の舟、その上に覆いかぶさるように柳が描かれている。
 外面胴部には所々に葉文を描き、高台側面に櫛目、高台内には二重方形枠内に「福」字名が配されている。
 微妙に各部分文様の描き方に差は認められるが、ほぼ同じ構図で、同型と推定される伝世品があるが(左)、文様配置がまったく逆になっている。確認はしていないが、あるいは伝世品の写真が反転して掲載されている可能性もあるだろう。
 このように同じ文様を描いても微妙に各部分文様が異なるのは、この時期までの製品では通有であり、まったく同一の文様が描かれるようになるのは、もう少し時期の降る柿右衛門様式以降である。

 




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