染付VOC銘花鳥文芙蓉手大皿 (泉山口屋番所遺跡/1690〜1700年代)

 

 

(内面)

(外面)


 1992年に行った泉山口屋番所遺跡の調査で出土した芙蓉手皿である。土壙の中に多量の製品が一括して廃棄されており、これと同様な皿も数個体含まれていた。この製品のようにハリ支え時のハリがそのまま残るものや、変形したものが多いことなどから、製品として使用されたものとは考えられない。おそらく、建物構築の際の整地用に、焼成不良の製品が廃棄されたものと推定される。
 この皿は、見込み中央部には「VOC」銘を配し、周囲には柘榴と牡丹描き、その間に鳳凰を二羽配している。外面は無文で、高台内には4ヶ所ハリを配し、その中の3つのハリが付着したままである。口径は不明であるが、底径は15.0cmほどである。
 「VOC」とは、周知のように有田磁器を大量に輸出したオランダ東インド会社の略称であり、一時期こうした銘を入れた芙蓉手皿も生産されていた。これまで「VOC」銘を配した皿は、内山地区の谷窯跡、稗古場窯跡、猿川窯跡などの窯場で出土しているが、稗古場窯跡で出土しているものに最も近い。ただし、この製品の出土した泉山口屋番所遺跡は、有田の東端、泉山地区に位置しており、遠く離れた稗古場からはるばる運ばれた可能性は低い。生産窯は不明ながら、同時期の窯場としては年木谷3号窯跡が最も近接しており、中樽窯跡なども比較的近い。

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