染付団竜文鉢        (泉山口屋番所遺跡/1680〜1700年代)

 

 

(内面)

(外面)

(側面)


 前回ご紹介したVOC銘の皿と同じく、泉山口屋番所遺跡の廃棄土壙から出土した鉢である。
 同種の製品がまとまって出土しているが、どれも焼成の際のゆがみがひどく正確な口径は不明であるが、およそ13cm前後と推定される。底径は約8.2cm、器高は5.5cmほどである。
 文様は、見込みに団竜文を配し、内面口縁部には七宝繋ぎ文を半切したような文様帯を迴らす。外面は、口縁部に蕾を付した唐草文を迴らし、腰部に一重、高台側面に二重、高台内に一重の圏線を配し、高台内に「富貴長春」銘を配して、ハリ跡が一つ残る。
 類似した団竜文の描き方をしたものとしては、いわゆる「元禄柿」に類するものと考えられている「元禄四年」(1691)共箱入の「色絵団竜文六角鉢」が知られている。また、赤絵町遺跡でも同様な団竜文を描いた鉢が1690〜1710年代頃の遺構で出土しており、元禄前後に比較的流行した文様と推定される。

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