白磁大皿                (幸平遺跡/1650年代)

 

 

(内面)

(外面)

 ほぼ最下の土層から出土している口径が30cmを超える白磁大皿である。もともとは色絵素地として作られたものかと思われるが、上絵付けが施された形跡は見当たらない。
 白磁というには釉面は灰色を帯びており、素地は全体的に分厚い。高台径は小さく、鉄分の多い原料を用いているため、露胎の畳付部分は茶色く発色している。内面には窯詰め時の水滴によるものと考えられているいわゆる雨漏り痕によって素地が深く抉られており、窯割れも認められる。
 この皿が興味深いのは、製品そのものというより、その焼成窯との関係である。実は類似した製品は、外山の黒牟田地区に位置する山辺田窯跡や多々良の元窯跡で多く出土している。細部の特徴を比較してみても、おそらくこのどちらかの窯の焼成品であることは、ほぼ間違いないだろう。つまり、外山地区の製品が、何らかの理由で内山地区に持ち込まれたことを意味している。しかも、幸平遺跡は上絵付け工房跡である可能性が高いため、もっとも素直な捉え方としては色絵の素地と考えたくなる。しかし、同様な製品はほかには出土しておらず、示したように窯割れやひどい窯キズもある。また、この種の素地に上絵付けしたものは、いわゆる古九谷様式と称されるものであり、幸平遺跡で出土しているほかの色絵製品と較べ、やや時期的に遡る可能性が高い。よって、持ち込まれた理由は明らかではないが、当時の生産体制を考える上でちょっと気になる製品の一つである。

● 画像をクリックすると、拡大写真がご覧になれます。

 




Homeページに戻る
Contentsページに戻る
ページの最初に戻る