やはり最下層に近い土層から出土している瑠璃釉の方形香炉である。この最下辺の土層や遺構からも色絵製品はいくらか出土しているが、屋敷地の造成や移住の際の生活用品等を伴うためか、割合的には色絵以外の染付製品などの数が圧倒的に多い。この香炉にも上絵付けはなく、外面には体部に瑠璃釉、底部に銹釉が掛けられている。
類似した製品は、同じく赤絵屋と推定される赤絵町遺跡で出土しており、また、体部片は楠木谷窯跡にも認められる。同様な形状の伝世品には金銀彩を施したものがあり、この技法が1650年代中頃にはじまったと考えられることから、その前後の時期の製品と推定され、出土層の推定時期とも矛盾しない。
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