最古期の土層から出土している染付大鉢である。口径約32.0cm、底径12.0cm、高12.9〜13.9cm、底部から丸みを持って立ち上がる碗形を呈する。胴下部の一部に窯割れが認められ、やや酸化ぎみに仕上がっているため、全体的に表面が淡黄色を呈し、釉には細かい貫入が入る。
主文様は内面に描かれ、見込みには二重圏線内に岩にとまった山鳥の文様が配され、周囲には口縁部の二重圏線との間に、竹に絡む蔓草文と芋葉文が対峙するように描かれている。外面は、口縁部に迴らされた二重圏線の下に簡略化された山水文が配され、高台外側面には高台脇近くに二重、中央部付近に一重の染付圏線が迴らされている。また、高台内には「龍」字に似る異体字銘が配されている。
この鉢は、太い筆を用いた力強い筆致で絵画的な文様が描かれており、いわゆる「藍九谷」と称される一群に含まれるものである。この頃には、国内向けの製品の中にも大皿や大鉢などの大型製品が比較的多いが、同じ文様を描いた例はほとんど認められず、それぞれ異なった構図が用いられているのが一つの特徴である。
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