陶器と磁器の区分(1)
−常識と現実のギャップを考えてみよう− |
いうなれば、基本中の基本、むちゃくちゃ根源的な問題である。 “そんなの常識でしょう!!”って答えが帰ってくるのも当然、たとえば、手元にある国語辞典を引くだけでも簡単に分かるし、今どき「陶器とは…、磁器とは…。」なんて断言してくれてるHPなんてごまんとある。
“ほかのサイトでも対応できることなら、あえてここで取上げる必要ないでしょ!!” というように、実は突き詰めると、むちゃくちゃ奧が深くて、なかなか簡単には説明すら難しいテーマなのである。 そこで、“今回から”あらためて“できるだけやさしく”この問題について説明してみようかと…、実は…、さっきふと思いついた。こうした基本中の基本は、説明する方も頭を抱えてしまうが、同時に聞いてる方も確実に段々頭の中が混乱してくる。それに、ちょうどこないだ掲示板でも、基本的なご質問をいただいたとこでもあるし。まあ、陶磁器に関わってて知らないっていうのもシャレにならないので、きっと、それなりに需要はあるだろうということで…。ともに悩みましょう。 |
【陶器】 【磁器】
この記述は、わたしが言うのも僭越なことは百も承知だが、たしかに本来の意味としては間違ってはいない。まとめると、以下のようになるだろうか。 *素地が焼き締まっていないのが陶器で、焼き締まりガラス化しているのが磁器 つまり、端的に言えば、原料とそれを焼き上げるための焼成温度の違い、ようするに原料の差によって陶器と磁器の違いが生じているということである。実に可もなく不可もなく説明されていて、さすが権威ある国語辞典と言うところか(本当に褒めてるんですよ)。たしかにヨーロッパあたりの陶磁器に限れば、これでかなり説明できるのかもしれない。ところが、磁器の生みの親、東アジアの陶磁器はとてもじゃないがこれだけじゃ歯が立たない。
“あなたは、本当に普段そんな基準で陶器と磁器を識別してますか??” たとえば、ある肥前製の伝世品を見て陶器と磁器の区分をする場合…、 “はたして、割口も見えないのに、本当にガラス化してるかどうか分かりますか?”
“いかがでしょうか?” 実際には、意識の有無は別にして、少なくとも普段はこうしたいわば原料の性質に起因する要素を唯一の基準として、みなさんの脳は陶器と磁器を識別してないことは、お分かりいただけるのではないか?
“ただし、事前にひと言、ご忠告申し上げます!!” “理論上はともかく、実際の製品の場合は、それらの基準じゃ識別できないものがワンサカ出てきますので、あしからず!!”
さらに、しつこく“そんなものあるはずが…??”っていう方のために…。 たとえば、肥前の青磁には、原料の性質上は陶器質のものと磁器質のものがある。現実的に、これらはそれぞれ陶器と磁器に分けて、配置されているだろうか?青磁は一般的に、全部磁器に分類されてはいないか?”
“それでも、原料の性質のみで分けたいという方は、一度実際に泥沼にはまってみられることをお奨めします?わたしなんぞも、出土陶片にうずもれてしょっちゅうそんな回り道してるので分かりますが、たしかに受け売りと違って苦労を伴う分、いろんなことが身に付くことは間違いありません。だから決して無駄じゃありませんが、手付かずの生の資料って、なかなか手ごわいですよー。” まあ、それは置いといて、 なぜこうした定義があるのに現物は必ずしも分類できないのか?
これは、ひと言でいえば、 現実的には今日の陶器と磁器を区分する基準が、必ずしも原料の性質だけに頼っているわけではないからである。 ある面では、それ以上に関わりが深いもの、それが“〜〜(文字化けではありません。秘密です!!)”と言えるかもしれないのだ。
それでは、そのもったいぶってる“〜〜”って何!!ってことになるが、まあ焦らない、焦らない。とりあえず、このあたりまでちょっと頭の整理をしておいてもらって、いよいよ次回から、具体的に説明してみようかと思う。 |
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