第1003回 全体を見る 〜痛みに迷わせられずに〜

 平成24年 4月12日〜

指先に 小さなトゲがささったとき そのトゲが気になって気になって
その痛みに 心のすべてが奪われてしまうことがあります。

同じように 解決しなければならない問題が起こり そのことばかりが
気になって落ち着かないこともあります。
親しい人との喧嘩も ほんの些細なこと 小さな行き違いから
起こるものです。

人間のこころは 集中できる特徴と 集中すると他のことが見えなくなる
欠点があるようです。

冷静になって 考えれば 身体の中で 痛いのは 指先だけで、
その他は 順調で 問題ないのです。
ほんの些細なことで 悩んだり いらだったり喧嘩をしたりしています。

全体が見えなくなっている 好調なこと順調なことは 意識の中から
消えてしまい 小さな問題や些細な悩みだけが、意識のすべてとなって
苦しんでいるのが 私たちです。


 また、子どもの頃から 「なせば成る 成さねば成らぬ何事も・・・」と
努力することの大切さを教えられてきました。

どんな苦しいこと 大問題でも あなたの努力で解決しますと
教えられてきました。

自然とともに生きている生活をしている人は、人間の力だけでは
問題は解決できない もっと大きな力を実感して 人間の力の及ぶ範囲と
及ばないところがあることを 理解していると思いますが、
人間関係だけ人間中心の生活をしている人たちには
言葉による説得で 人間の誠意で 努力で何事も問題は
解決するように信じ切っています。


浄土真宗は 無量寿仏 無量光仏 と説かれます。
仏のはたらきは 限りが無く いつでもどこでも誰でもが目当てである。
そして やがてこの私も 限られた命を終わると 限りない命の
仏と同じ はたらきが出来ると 説かれています。

私には 生きている人間の世界がすべてであり 今この瞬間しか
意識の中にはありません。

これまでの 数限りない 喜びや感動のすべてを忘れ
目の前の小さな出来事に 右往左往しています。

南無阿弥陀仏のお念仏を聞くとき この小さな世界から 拡がりを持った
大きな世界へと目を向けさせていただくことで 私の人生の輝きは
大きく違ってくるものです。

今この瞬間だけに目を奪われず、これまでの過去 そして未来を
見つめる習慣を身につけることで まるで違って見えて
くるのではないでしょうか。

 集中し、今に焦点を当て、真剣に生きることは大事ですが
私のすべてを 全体を 過去から現在 未来の すべてを見通し
意識できるそうした力を 養いたいものです。

そこに報恩感謝 喜びの人生が すべての人に間違いなく
味わえてくるものなのです。

妙念寺電話サービス 次回は4月 19日に新しい内容に変わります。



         


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