第1046回 近道すれば 南無の一声 ~一休さんと 蓮如上人~

  平成25年 2月 7日~

こんな文章に出あいました。

ご存知でしょうか。蓮如上人と、頓智話で有名な
あの一休さんとは 応仁の乱があった頃の、いわば同時代者だった
ということを、もっとも、年齢は一休(宗純)禅師のほうが
二十一歳も上でしたから、お二人が本当に出会われたかどうかは
定かではありません。

 それでも人びとは、どうしてもお二人が交流する様子を

思い描きたかったのでしょう。

ある時、一休さんから招き状をもらった蓮如上人。
出かけてみると禅庵に入る橋に立て札がしてあって
「コノハシワタルベカラズ」と書いてあります。

でも上人は気にもかけぬ風情で渡っていかれます。
“どうして”と尋ねる一休さんに、「真ん中を歩いてきましたよ」と

上人はすましこんでおられたとか。

一休頓智話を逆にしたようなエピソードも残っています。
そして、こんなやり取りがあったとも伝えているのです。

ある時、一休さんは上人に宛てて皮肉っぽく一句を認めます。

 極楽は十万億土と聞くからは

  足腰たたぬ婆は行けまい

 すると、さすがに蓮如上人、すぐさま返歌して、
 こう詠まれたというのです。

 極楽は十万億土と聞くなれど
  近道すれば南無の一声

おもしろいというより、極楽往生もお念仏に乗託しさえすれば、
さほど困難ではないという、蓮如上人、常日頃の語り口が

聞こえてくるようで有難いですねェ。

 できれば『正信偈』の龍樹大師を鑽仰されるくだりにある
次の四句も あわせて思い出してくださるなら、一層深く
味わうことができましょう。

 顕示難行陸路苦 信楽易行水道楽 憶念弥陀仏本願 自然即時入必定

 実際、第八代の本願寺住持を正式に継職されて以降の蓮如上人、
湖上や河川の利便性を生かされた点で、まさに水際だった手腕を
発揮されもしたのでした。

 大乗 巻頭法話 252月号 相愛大学教授 大村英昭師

 妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
 次回は、214日に新しい内容に変わります。

 

         


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