国を滅ぼす原理

 

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。

さて、佐賀市内が、今大きく変わっています。

一面の田圃だった兵庫地区の区画整理が完成し、

大きな駐車場を持った、新しい店が 次々に出来てきました。

 

いつの間にやら、大きな本屋さんが出来ていましたが、

そこで、一冊の本を見つけました。

 

電気製品のソニーの創始者である井深大(いぶかまさる)さんが

書かれた、「心の教育」 という本です。

 

この本を見ていると、『 明治維新以来の日本の教育は、

先進国に追いつけ、追い越せと、国の建設のための指導者や、

高級官僚を育成するという、はっきりした目的をもっていた。』 と。

 

そして、『 第二次大戦に突入し、戦争に敗れた後は、

日本の国を経済復興するという、これも確かな目的が

あった 』 とあります。

 

しかし、『 現在の日本は経済的にも、目覚ましい成長を成し遂げ、』

そこで、『 今後、どういう子供を育てたいかという、

共通の教育の目的が見えなくなっているのではないか』 と あります。

 

 ところで、『 昭和10年頃、ナチスドイツの時代、

ゲッペルスという宣伝相が、国民に対して、

ある警告を発した 』と記されています。

 

『 非常に強大な超国家的な勢力が、ドイツを破壊し

  滅亡させようとしているとして、19項目にわたる警告を出した』 と、

この本には書かれてあります。

 

その警告の内容を見ていると、遠い過去のことではなく、

まさしく今、日本の問題点であるかのようにも思えてきます。

 

『 悪平等主義、お金中心の拝金主義、道徳の軽視、

  ことなかれ主義の政策、否定・消極主義、享楽主義、

  恋愛至上主義、家族制度の破壊 』

『 スポーツ、スクリーン、セックスの三つのSの奨励など、』 。

これは、60年前に、『 ユダヤ民族がドイツを

だめにするために、さまざまな企てをして、

文明の破壊に挑んでいる 』、と警告し、

 

ドイツ民族の団結を呼びかけた言葉だということです。

これらの指摘項目だけを見ていると、どうも過去の事ではなく、

現代の日本の混乱した状況を表現している内容であるかのように

錯覚してしまいます。


ナチスの行動は決して許せませんが、第一次大戦後 

混乱するドイツの状況を嘆き 多くの国民が ナチスの主張に

共感して 現状打開のために 無批判に追随し 危険な道に 

迷いこんでしまったのが 悲しい歴史的な事実だと思います。

 

 この 『人びとを駄目にする19の項目』、

これは、仏教で言う地獄餓鬼畜生の世界を表した言葉にも

近いように見えてしまいます。

 

目先の自分本位の欲望の充足こそが、

最大の喜びとし、それこそ人間の理想と思い込み、

喜んだり悩んだり苦しんだりしている 煩悩具足の私を

批判している言葉にも聞こえます。

 

また、この本には、 『 教育というと 学校での教育、

成績本位で受験戦争に勝ち抜くことが、

よい教育というように、理解する人が多いが、

実は、学校や幼稚園に入る前の、小さな子供のころからの

家庭での教育、家庭でのしつけ、これこそが最も大事である』 と

繰り返し述べてあります。

 

『 知識だけの教育ではなく、心の教育の重要さ 』が 強調して

ありました。

子供は大人の背中をみながら成長するもの、

朝に夕に、南無阿弥陀仏とお念仏をしながら、

感謝と喜びの生活を、はっきりと子供たちに

見せて上げることこそ、もっと手近で効果のある

家庭教育、心の教育ではないかと感じました。

 

南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏とお念仏の生活を、

物心つく前から馴染むようにすること。

仏様の願いにかなった、日々の生活、これこそが、

もっとも重要な心の教育であり 人類を滅ぼさない

原理だと思います。

妙念寺電話サービス次回は、4月24日に新しい内容に変わります。

 

 

                       ( 平成9年 4月17日〜 第221回 )

                   


西本願寺ホームページへ