寄生虫とも共存

 

妙念寺電話サービス、お電話ありがとうございました。

お医者さんから、こんな話を聞きました。

 

近頃、花粉症やアトピー性皮膚炎など新しい病気が出て来ましたが、

これは、日本だけではなく、ドイツでも同じことが起こっているようです。

それも旧東ドイツより、旧西ドイツの人の方が数倍も

多く発病しているそうです。

 

東京医科歯科大学の藤田光一郎先生は、

寄生虫病や熱帯病の免疫医学の研究をしておいでの方で、

東南アジアやアフリカで、30年の間、調査研究をされて、

 

アトピー性皮膚炎や花粉症などが何故起こるのか、

よく調べてみると大変なことが分かって来たといわれます。

 

それは、体の中に寄生虫をもっている国の人びとには

こうした病気は、発生しないということです。

 

回虫などの寄生虫は、人間の体の中に自分の排泄物を出し、

寄生虫自身を守っています。

 

人間はこの排泄物に攻撃を加えますが、それと同時に、

アトピーなどの病気の発生を抑えるのだそうです。

 

ところが、戦後、寄生虫は人間にとって害が多いということで、

徹底的な駆除を行いました。

戦前までの日本人は、7割近くの人が寄生虫を持っていたようです。

 

ところが、戦後アメリカ人が日本に入って来て、

生の野菜をサラダとして大量に食べるようになって、

外国人の間に寄生虫が大量に入り込んでしまいました。

 

駐留軍にとっては、日本は不衛生な国に思えたようです。

そこで、徹底した駆除を進め、日本からは回虫などの寄生虫は、

完全にいなくなりました。

ところがこれに変わって、新しい病気が出て来たといいます。

 

 

この話を聞きながら思いました。

私たちは、物を見るときに、その一面だけを見て判断します。

 

そして、人間の勝手な考えで、害虫だ益虫だと区別して、

害があるものは徹底して殺しています。

 

ところが、よく調べてみると、その生き物が人間のために

働いていることも多いのです。

 

それなのに、それを気づかずに、駆除してしまった結果、

現代の新しい病気が発生してしまったのではないか。

 

これは、人間同士でも言えることかもしれません。

その人の悪い面だけを見て、その人の良い面を

見ていないのではないでしょうか。

 

この世の中にある物で、無駄な物は一つとしてないはずです。

みんな精一杯生きるために、ある面では、他に危害を

加えていることもあるのでしょう。

 

しかし、他の面では、助けあっているのではないかと思います。

お互いに協力しあって生きているのが人間同士であり、

生き物同士でしょう。

 

一方的に自分だけ利益を受け取るのでなく、

自分の出来ることで、他にお返しをして行くことが大事でしょう。

 

私たちは、自分だけお世話になっておきながら、

気づかずに、みんな当たり前になって、感謝もしない、

お返しもしない毎日を送っているのではないでしょうか。

 

共生、ともに生きるということがこれからは、

求められているのではないでしょうか。

 

そして、このことは、南無阿弥陀仏を称えることで、

ともに生かされていることを、はっきりと、この私に

気づかせていただけるのです。

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。

次回は、9月11日に新しい内容に変わります。

 

 ( 平成 9年 9月 4日〜 第241回 )