二種の廻向を信ずる
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来年は、蓮如上人の500回遠忌です。
せめて朝と晩だけでも、正信偈とご和讚をくり読みすることを
勧められたのが、この蓮如上人でした。
そのご和讚をくり読みするとき、次の和讚に出会いました。
如来二種の回向を
ふかく信ずるひとはみな
等正覚にいたるゆゑ
憶念の心はたえぬなり
という正像末和讚の一首です。
ご承知のとおり、親鸞聖人は、教行信証の
最初に
「つつしんで浄土真宗を案ずるに、二種の
回向あり。
一つには、往相、二つには 還相なり。
往相の回向について真実の 教行信証あり。」
とおっしゃっています。
また、証文類のはじめには、
「 二つに還相の回向といふは、すなわちこれ
利他教化地の益なり 」 と、
おっしゃっています。
往相の回向と還相の回向、如来のこの二つの回向を深く信ずる人は、
もうさとりを得た諸佛に等しいとおっしゃいます。
一般に回向と言うと、自分で積み上げた功徳を、他の命あるものに施し、
ともどもに仏のさとりを得ようと願う心をいいます。
ところが、浄土真宗では、そういう考えかたをしません。
自分でさとりを得れるような力を持たない私たちは、他に振り向けるような
善根功徳を積むことは、決して出来ません。
阿弥陀如来はそのことをよく知っておられ、大慈悲心をもって、
われら凡夫のためにさとりにいたる道を設けられたのであります。
即ち、如来が私たち一人一人のために修められた功徳を、名号の中に
満たして、私たちの往生の種となるように回らし振り向けてくださり、
凡夫がその名号のいわれを聞き、信じ受領させられて、さとりに至る道、
これを往相回向といいますが、この往相回向がちゃんと用意されている
ということです。
また、弥陀の回向には、浄土に往生して仏となってから、
この娑婆世界に帰り来る働き、これを還相回向といいますが、
この還相回向も設けられているのです。
つまり、われらの受ける徳である、自利も、他に施す徳、利他も、
すべて弥陀如来の願と行とにもとづくのです。
このように往相回向も還相回向も、ともに他力、
仏の力による回向であるところから、これを他力回向というのです。
お浄土へ先立った先輩たちが、すでに還相の働きをしていただいて、
この私もやっと、お念仏の教えに出会えたと味わえます。
二つの回向を深く信ずる人はみな、等正覚にいたる、
仏と同じさとりを得たのと等しいとおっしゃるのです。
私もやがて、お浄土へ生まれさせていただくだけでなく、
この娑婆に還り利他の働きが出来ることを信じ、お念仏の生活を
送らせていただきたいものです。
妙念寺電話サービス、次回は、11月20日に新しい内容に変わります。
( 平成 9年11月13日〜 第251回 )