第394回 迷っているのは誰

    平成12年 8月 10日〜

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。

今年の夏は例年になく暑い夏のようです。

しかし今年もTVは帰省ラッシュで渋滞の様子や、
田舎でお墓参りする映像が紹介されることでしょう。


ところで、皆さんよくご存じのように、浄土真宗では、
一般の仏教とは大きく違って、お仏壇に精霊棚を
設けたり、迎え火を焚くといったことは行いません。



一般にはお盆は、先祖の霊を迎え追善供養する
ためのもののように、思われていますが、浄土真宗の
場合は、仏様のお徳を讃える仏事なので、こうした
行事はふさわしくありません。

また、十三日にご先祖が戻ってきて、十五日に帰るという
非仏教的な霊魂感も認めませんので、ご先祖様を
送り迎えや、それに因んだ風習は一切不要です。


そして、お仏壇は、普通の法事などと同じように、
お仏飯、お餅やお菓子、果物などをお供えしますが、
前卓には内敷をかけるなど、丁寧なお飾りを
おこなうのが良いでしょう。


反対に「故人が好きだった」などといってお酒や
タバコを供えたりするのは、仏前ですので、
ふさわしくありません。



 私たちはややもすると先だった父母やわが子の
ことを思うあまり、故人の位牌や写真に好物などを
お供えして手を合わしたりしますが、先だった人を
救うのは「すべてのいのちあるものを必ず救う」と
いう阿弥陀如来の本願、お慈悲であって、好物の
お供えや読経ではありません。


私たちをお救いになる仏様のお徳を讃え感謝して
行うのが、読経であり、お供えであり法要であります。


迷っているのはご先祖さまではなく、この私自身なのです。

わたし自身がお念仏を喜ぶ身と成るよう聞法にいそしむ
ことこそが、何より大切なことです。


ある念仏者の言葉に、「人生いろいろというが、
私は二つしかないと思う、阿弥陀さまのお慈悲を聞くか、
きかないか」といわれましたが。


このお盆を機縁に、是非、仏法を聞かせていただき、
豊かな生きがいのある人生を、歩んでいただきたいと
思います。


妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
次回は、八月十七日に新しい内容に変わります。


     本願寺新報、十二年八月一日号 七面
        「浄土真宗とお盆」参照