第407回 伝えるものは


     
平成12年 11月 9日〜

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。
先日、近くのお寺の世話役の方々とお話ししておりましたが、
どうしても話がすれ違い、困ったことがありました。


その方々は、現代こうして世の中が乱れているので、
お寺をもっと活性化させて、若者にも道徳や倫理を
伝えたいとおっしゃいます。


お寺が活性化するのは大賛成ですが、道徳や仁や義で
いいのか、疑問を感じました。


仏教というのは、この言葉は、余りにも幅広く、誤解を
まねきますので、浄土真宗というのは、どうも世間の
常識を越えた教えではないかと思います。


自力聖道門といわれるグループの方々や道徳や倫理、
神道などの教えは、学校教育で習った、一般の常識で、
ある程度理解出来るものです。
各人各様、都合よく、なんとなく分かったつもりに
なれるものです。


ところが、お念仏の教えを世間の常識で理解しようとすると、
どうも役立たない、魅力のない、積極性にかける、
時代遅れの駄目な教えと見えるようです。


しかし、「なぜお念仏でなければ救われないのか」を聞き、
お念仏の生活を始めると、私たちが日頃、いかに
自分勝手で、自己中心主義で、自分の思いどおりに
なることだけが、幸せであると誤解し、あまりにも、
反社会的な生活をしていることに気づくものです。


 今、若者の問題は、こうした身勝手な大人たちへの
反発ではないかと思います。
ですから、いくら道徳を説き、仁や義を説いても、
若者達は、大人を批判こそすれ、身を正すことは、
期待出来ないのではないかと感じます。


 若者が求めているものは、本物です。

時代が変わろうと、日本人であれ、外国人であれ、
健康な時にも病気になっても、金があっても、貧乏な
人でも、今まさに死のうとする時でも、変わりなく貫く、
本物の教えです。


しかし、これは世間の常識に生きようとしている人には、
どうしても理解出来ない教えです。


本物を探そうという思いのない人には、まったく
理解できない教えです。


その教えを説くところが、その教えに出会うところが
お寺であり、家庭であり、そしてお念仏であると思います。


その為にお寺を繁盛させる必要があるのです。
せめて可愛い子供たちだけには、この教えを
伝えたいのです。


世間の常識、娑婆の論理を、越える教え、
本物の教えを伝えたい。


その根本の所を押さえて、南无阿弥陀仏が聞こえる
お寺に、繁盛させていただきたいと感じます。


妙念寺の秋の法座は、この18日と、19日です。
是非、この教えの神髄を味わっていただきたいと
思います。


次回は、11月16日に新しい内容にかわります。
妙念寺電話サービスお電話いただきありがとうございました。