第436回 右肩下がり

  平成13年 5月31日〜

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テレビの世界が大きく変わっています。
国会や政治のニュースが、ワイドショーでも頻繁に
取り上げられるようになりました。


これは、テレビが変わったというより、それを見る国民の
意識が変わったこと、その意識を変えたのが、新しい
小泉内閣なのでしょう。

そのテレビを見ていると一番大事なことは、言葉であると
感じます。
自分の思いを他の人に伝えるには、態度も重要ですが、
まずは言葉が大事であると感じます。



 私どもの、浄土真宗の教えは言葉が重要な教え、
「南无阿弥陀仏」というお念仏の言葉と、その味わいを、
言葉で聴聞し、常識が転換されて 伝わっていく教えです。



 それでは、言葉で伝わる浄土真宗とは、どんな
教えなのでしょうか。


大胆にいえば、価値観の転換、常識の転換、自己中心の
世界からの脱却だと思います。


いま、政治の世界では構造改革とか変革と言われていますが、
政治の世界だけではなく、この私の意識も変革する
必要があるようです。 

戦後のこの50年あまり、日本全体が発展、進歩、躍進と、
右肩上がりで拡大することだけを経験してきました。


経済も文化も生活水準も、日に日に上昇し成長するのが
当たり前で、物の豊かさだけに酔いしれていました。


しかし、バブルが崩壊以来この数年間は、減少、減速、
マイナスと、右肩下がりを初めて経験し、戸惑い悩んでいます。


伸びること、プラスになることは知っていましたが、下がること、
マイナスになる経験はしていませんでした。


 ところで、私たちの生活を見て行きますと、すべてが
上昇するものだけではありません。


忘れていますが、私自身の生命も、肉体も、仏教で言う
生老病死のすべては、日一日と下降する右肩下がりです。


どんなに努力しても、高いお金をかけて、薬を飲んで健康に
注意しても、年老いて行くことは確かですし、病気からも
逃れることができません。
そして、人間は一人残らず、死を迎えます。          


それに気づかず、自分の思いどおりにならないのに
慌てふためき、自分の努力不足ではないかと、苦しみ
悩んでいます。


しかし、人間の力が及ぶことと、及ばないこととがあります。

何事も人間の思う通りになるのだとの、思い上がりを、
私に、はっきり気づかせていただくのが南无阿弥陀仏です。


 デフレ、マイナス成長、生老病死と、右肩下がりの
現実の中でも、嘆き悲しむだけではなく、そこに喜びを
見出し、力強く生きていく智慧と力を与えていただくのが、
南无阿弥陀仏の教えです。


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次回は、6月8日に新しい内容に変わります。