第576回 心を耕す

  
平成16年 2月 5日〜

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。

こんな文章を見ました。

神奈川県の山の中にある「くだかけ生活舎」の和田重良先生の
話です。


和田先生は不登校や引き籠もりや、どう生きて行けばよいか方向を
見失っている青少年たちと一緒に、自立できる「よい生活」を
目指した共同生活を送っています。


現代の子供たちには極端に孤立した日常生活が多いようで、
ほかの人と一緒に風呂に入れない。一人でなければ眠れない。
食事の時に、全体の人数と一人当たりの量を考えないで好きなだけ
取ってしまうことなど、他人と共に暮らす経験が乏しいためか、
人間同志の繋がり感覚が乏しい人が多いそうです。


そういう人たちが二十四時間仲間と一緒に生活を続けて、自発的に
朝早く起き、自発的に掃除や静座ができ、畑での農作業などが
できるようになる間に、他人にも自分と同じ欲望があることに気づき、
全員の行動にも目が届くようになり、自分を生かしている自然の
働きにも気づくようになります。


そうなると、自分と自分を取り巻く外界のすべてが共生している
「自他共生」の世界にいることが納得できて、少しずつエゴの
厚い殻が破られてくるのだそうです。


こういう経過を、和田先生は、知識は一杯もっているが、欲望を
コントロールする心が未発達の「心が耕されていない」状態から、
本来の知恵に目覚めて「心が耕される」状態になると表現されて
います。


現代日本の子供たちは、まず「そうすればどうなるの」と尋ねて、
理解できたら行おうという態度が染み付いていて、何でも理解
できるはずだと錯覚しているので、まず一緒に実行することを
心掛けておられるそうです。


考えて解らなくても実行してみると解ることが人生には一杯ある
ことを体で知り、心が耕され始めると、本来の知恵が働くようになり、
学校にも行けるようになるし、世間に顔を出すこともできるように
なるそうです。


この文章を見ながら思いました。

 ただお念仏一つで救われるということが、どういうことか、
考えて理解できるものではありません。これも実行してはじめて
解る世界だと思います。


お念仏の生活を始めてみると、多くの人に、多くのものに自然に
支えられ、共生していることがうなずけてくるものです。


その意味で、浄土真宗ではお念仏の生活を実践して心を耕して
いくことを、勧めていただいたのだと思います。


妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
次回は、2月12日に新しい内容に変わります。

月間在家仏教 同心円 心を耕す
  
金光寿郎氏(元NHKチーフデイレクター)  の文章から
  大部分引用しました。