第612回 仏法の繁昌

 平成16年 10月14日〜

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。

ところで、この電話サービスの原稿をインターネットのホームページに
掲載しておりますが、先日10万回を超えました。


多くの方々がご覧いただいていること、誠にありがたく存じます。

 ところで、大分臼杵にお住まいだった佐々木蓮麿という方のご本を、
お教え頂いた方があります。今日は、「仏法の繁昌」という文章の一部分を
ご紹介します。


先年ある寺で三日間蓮如上人の言葉である「一宗の繁昌と申すは、
人のおほく集まることではなくて、一人なりとも、人の信をとるが一宗の
繁昌に候」ということをお話ししました。


三日間の法話が済み、ご住職が参詣の人びとに挨拶して言われました。

「私は今まで、ご門徒の中に誰か一人、まことの信をいただいてくださるならば、
有り難いと思っておりました。
しかし、この度三日間、聴聞して私の考えが大きな間違いであったことに
気づかせてもらいました。


一人なりともとは、門信徒の中の一人ではなく、住職の私一人のことであった」と。

ご住職の話を聞いて、また自分自身が同じ間違いに陥っていることに
気づかせてもらいました。


 むかし、愛知県の田原というところに、ソノという女性の妙好人がおりました。

ある人がソノさんに向かって、「あなたは大そう仏法をおよろこびになるが、
あなたの在所では、そんなに仏法が繁昌しているのですか」と尋ねました。


ソノさんは即座に「他人さんのことは、存じませんが、私一人は大繁昌で
ございます」と。
質問者は、「ではどのように繁昌しているのですか」と尋ねると、
「私はな、毎日毎日、朝から晩まで、ほしいおしい、にくいかわいいの煩悩妄念
ばかりの日送りをしておりますから、阿弥陀さまのお仕事は大繁昌でございます」と
答えられたそうであります。


なんとスッキリとした返事でしょうか。

親鸞聖人が「弥陀の五劫思惟の願をよくよく案ずれば、ひとへに親鸞一人が
ためなりけり。されば、それほどの業をもちける身にてありけるを、たすけんと
おぼしめしたちける本願のかたじけなさよ」と述懐されたおこころを、
ソノさんはわがものとして、簡明に表白しているのであります。


蓮如上人の「仏法は知りそうもないものが知るぞ」のおことばが、
ソノさんのうえに生きております。


という文章です。

一宗の繁昌は、誰あろうこの私の上にというお気持ち誠にありがたいものです。

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
次回は、10月21日に新しい内容に変わります。


              百華苑発行  信心清話より 一部分紹介

   ※歎異抄の文言は、本願寺派の註釈版に直しております。