第884回 朽ちていくもの 萌えるもの 〜氷多きに 水多し〜

 平成21年 12月31日〜

妙念寺電話サービス お電話ありがとうございます。

年賀状には こんな言葉を書かせていただきました。

  雪の下 朽ちていくもの 萌えるもの(藤原正遠師)

 テレビで ご紹介いただいた 句です。(宮戸道雄師)
暖かい九州では 雪は 数日降るだけで 根雪になることは 殆どありません。
子供のころ 雪遊びをしたくて そりを作り
 雪がふったと 大喜びをしたのに 
学校から
 帰って来たら もう とけてしまい、悔しい思いをしたことを 
思い出します。


年に 一度か二度 積もればもう冬が終わるというのが 子供の頃でしたが、
ここ数年は うっすらと化粧するぐらいで 雪だるまを 造るほどに降ったことは 
思い当たりません。


根雪のある地方の方の句でしょうが その雪の下に 枯葉は押しつぶされて
だんだんと 朽ちていくのに対して、根の生えた植物は じっと春を待って
芽を膨らませていくことを 読まれたのだと思います。

これは 雪の下だけではなく 土の中に埋もれても 生きている種子は 根を出し
やがて 地上に芽を出す 準備をしているものでしょう。

人間も同じように 悩み苦しみに 押しつぶされて 空しい人生を送る人と
その苦しみをご縁にして すくすくと伸びていく人とがあるようです。

その違いは何かというと しっかりと根を張っているか どうか の違いのように、
人間で言えば 自分がどこから来て どこへ向かおうとしているのか。


人間として 生まれてきた 意味 人間の目的を知っているか、
知らないかによって違ってくるのだと思います。

お念仏に出会った人は  やがて自分も お浄土へ生まれ 仏としての働きを
させていただく、そう味わうと 重い雪が 寒さから身を守ってくれる 
お布団の働きをしてくれるように
 悩み苦しみも私のための 尊いご縁と
なってくるのでしょう。


 
また、親鸞聖人は、こんなご和讚を読んでいただいています。

   罪障功徳の体となる   こほりとみづのごとくにて
  
    こほりおほきにみづおほし  さはりおほきに徳おほし       

氷と水の関係のように、氷が多いことは、水が多いことを意味します。

悩み苦しみが少ないように、問題が起こらないようにと、 オロオロして
生きていますが、人生はどんなに努力しても 工夫しても、さまざまな悩みや
苦しみに出会うものです。


この悩み苦しみから なんとか逃れることにキュウキュウする 空しい人生でなく、
お念仏とともに、どんな苦しみに出会っても
 力強く生きる 慶びが多い、
味わい深い人生に、転化させていただきたい
 ものです。

今日一日、どんなことが起こっても ようこそ、ようこそと 
有り難い 喜び多い 一日になるように。
そのことを教えていただくのが、南無阿弥陀仏のお念仏、
自分で口にし、自分で聞くことで、安心と喜びを与えていただき、
何の心配もなく このまま お念仏とともに生きていけばいいのだと

気づかせていただくのです。

妙念寺 電話サービスお電話ありがとうございました。
次回は 17日に新しい内容に変わります。

         


           私も一言(伝言板)