第975回 トウガラシ 〜痛みを和らげる力〜

 平成23年 9月29日〜

辛いものが 大好きな人がいますが、トウガラシはどうしてあんなに 辛いのか、
それは トウガラシが、動物から自分の身を守るためのものだといわれます。

動物は その辛さが苦手で敬遠し 食べませんが、辛いという感覚がない鳥たちは 
その実を食べ 遠くへ種子を運んでくれます。

その結果、広い範囲に 繁殖することが出来て 生き残っているのだといわれます。

 ところで その辛さを嫌いな動物も 何かの機会に食べてしまうと それが習慣と
なっていくことを 猿を使った実験で見ました。

普通の餌と 辛さを加えた餌を 置いておくと 猿は 辛いものを嫌います。
しかし、普通の餌を与えずに 辛い味の餌を繰り返し与え続け
 やがて、
普通の餌、辛い餌の両方を与えると 嫌いだった辛い餌を好んで
 食べるように
なってしまうという実験です。

これは、一説には、大きな痛みや 苦しみに出会うと動物の脳は
 その痛みを
和らげるために快感物質を分泌させるためだろうと言われている。

強烈な辛さや痛みに襲われたとき その痛みを和らげようとする物質が

脳から分泌される心地よい体験をすると、動物は その快感が忘れられず、
虜になってしまうのだといわれます。


 肉食が好きな西洋では 香辛料は必要不可欠な食材です。
アメリカ大陸が コロンブスによって発見され、またたくまに アメリカの

トウガラシは ヨーロッパに広がり、ますます辛いものが求められるように
なり、つぎつぎに品種改良が繰り替えされ、栽培法の研究がすすめられて
きました。

辛さを増すには、直射日光があたらない日陰を作ってやり、思う存分

栄養を吸収させると、ますます辛くなることが分かったそうです。
栄養をより取りやすくするために行き着いたのが、ミミズが分解した

土から取り出した成分を与え、成長中のトウガラシたちに出来るだけ
声をかけ、話しかけることが大事だとのことです。

自然のいきもの、その性質 充分に生かすことだとの説明でした。


これを聞きながら 思いました。
南無阿弥陀仏で救われる といっても仏さまの願いや はたらきを

感じられない人にとっては あまり意味のない言葉なのではないか。
繰り返しお聴聞している人は、私が生きていくために 多くの人々の
ご苦労や努力を味わえるように育てられ、私を生かすために、
自分のいのちを投げ出してくださった多くの生き物たち、自然の

はたらきに気づかされたとき、申し訳ないという慚愧のこころと
有り難うございますとの歓喜の気持ちが芽生えてくるとき
私の中の脳の働きに変化が起こるのでないかと思います。


特に とても耐えられない苦しみや悲しみに出会ったとき、
おまえ一人のために、おまえのことが一番心配だと、呼びかけてくださる

仏さまのはたらきが味わえたとき、その悲しみを 苦しみを和らげる
分泌物が出てきているのでしょう。

そのときの喜び快感を体験できた人は、尚一層 南無阿弥陀仏のはたらきが 
味わえるようになるのだろうと思います。

私のことを、もっともわかってくださる方がある。父や母のように

いやそれ以上に 私のことを心配し励まし導いてくださるはたらきがある
南無阿弥陀仏がある。その南無阿弥陀仏を、楽しいときも苦しいときも
悲しいときも いつも味わえる豊かな人生を いただきたいものです。

妙念寺電話サービス 次回は、10月6日に新しい内容に変わります。


         


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