特別企画「健康を考える」

                     2000年1月から2003年までにシリーズで佐賀新聞に掲載されたものを抜粋しています
                                                                   
                                                                                                                                   

【 東  義 規 】

昭和51年九州大学理学部物理学科卒業。同59年九州大学医学部卒業後、同医学部脳神経内科に入局。大牟田労災病院神経内科を経て平成元年より山口県長府病院に勤務(同4年より院長兼理事長)。いち早くMRIを導入し、山口県下で初の脳ドックを開設し脳疾患の予防医学の普及につとめた。平成6年4月より医療法人聖和会安永病院内科部長として活躍後、平成10年12月、たけお内科医院院長に就任(同13年より理事長兼務)
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痛みはどのようにして感じるのですか?
痛みは急性と慢性に分けられますが、急逝であれ慢性であれ痛みは末梢神経から後根神経節→脊髄→視床→大脳へと伝達され痛みとして大脳で認知されます。
何かに一生懸命集中していると痛みが認知されず痛みを感じないことがあります。
また、慢性的に痛みが持続すると、よくうつ的になり痛みを感じなくなるのです。
慢性疼痛とはどんなものなのですか?
慢性疼痛とは、三ヶ月から六ヶ月をを超えて持続する痛みのことです。神経の障害が消失した後、末梢神経・脊髄・脳などに形態的、機能的な変化が起こり、痛みが残るのです。
例えば帯状疱疹後の神経痛では、末梢神経に形態的な変化が起こり通常は全く痛みとならない刺激が、異常に強い痛みと感じるようになります。(アロディニアといいます)
また、痛みの神経と交感神経との異常な関連により、脊髄の情報処理に変化が起こり、痛みを感じることがあります。(反射性交感神経性ジストロフィ)
慢性疼痛では、長期的痛みが続くことにより、うつ状態など、心因的要素が大きくなります。それがさらに痛みを増幅するのです。(表1)
  
慢性疼痛の分類  (表1)
1.神経因性疼痛
  求心路遮断性疼痛:幻肢痛・腕神経叢引き抜き損傷・帯状疱疹後
    神経痛・脊髄損傷後痛・視床痛など
  反射性交感神経性ジストロフィ
  三叉神経痛・舌咽神経痛
  非定型顔面痛
  糖尿病性末梢神経炎
2.機能的疾患による疼痛
  筋骨格性:緊張性疼痛・慢性腰痛症・変形性膝関節症など
  神経・血管性:片頭痛・群発頭痛など
  内臓性:胆道ジスキネジー・過敏性膓症候群など
3.癌性疼痛
                                        
かなり聞きなれない言葉が出てきましたが、アロディニアとはなんですか?
一般的には痛覚はC線維、触覚はAβ線維という神経によって伝達されます。しかし何らかの傷害によって神経の伝達経路が変わり、痛みを伝える神経と、触覚を伝える神経とに新たな関連が生まれると、触刺激が痛みと感じるわけです。このように、本来痛みを発しないように刺激が強い痛みを発するようになることをアロディニアといいます。
反射性交感神経性ジストロフィという病名はなじみがなく極めてまれな病気という印象があるのですが?
実はこの病態は決してまれなものではないのです。
具体的に言いますと、外傷後数日から数ヶ月経った後に局所の疼痛(灼熱痛)と浮腫、つめの発育障害、毛の脱落、発刊過多、皮膚温色調異常等の自律神経異常を伴うものです。
あきらかな外傷が無い人にも起こりえます。
上肢では正中神経、下肢では坐骨神経に多く症状があらわれます。
痛みが長く続くとストレスだと思うのですが、ストレスが与える影響を教えてください。
そうですね、交感神経依存性疼痛というものがあります。この病態はストレスによって痛みが引き起こされます。交感神経の緊張により、アドレナリンの分泌が亢進し抹消血管が収縮すると、組織内の虚血などにより痛みの悪循環が生じます。(図1)


             (図1)  ストレスによる慢性痛の増強
                                        


先に述べたように交感神経と痛覚線維間の組織的、機能的な異常関連が起こり交感神経の緊張が直接的に痛覚線維を興奮させ、痛みになるのです。(表2)

交感神経依存性疼痛と考えられる疾患  (表2)

1.反射性交感神経ジストロフィ
2.幻肢痛
3.瘢痕痛
4.絞扼性神経障害(手根管症候群など)
5.代謝性神経障害(糖尿病性末梢神経炎など)
6.帯状疱疹後神経痛
7.膠原病に伴う痛み(慢性関節リウマチなど)
8.筋筋膜性疼痛
9.その他
                                        
脳の病気でも痛みは生じますか?
中枢神経疼痛(視床痛)と言って、視床に脳梗塞、脳内出血を発生した後、一定期間(1ヶ月以内)をおいて、耐えがたい痛みや、しびれが生じることがあります。
実は、視床は痛みの管制塔なんですよ。
腰痛や肩こりによく悩まされるのですが、なぜですか?
専門的には筋筋膜痛症候群といって、長時間同じ体制を維持している人がなりやすいのです。画像検査や血液検査では異常が認められないのに、、筋肉に痛みや「こり」が長期間(二〜三ヶ月以上)にわたって続き、筋肉への過剰負担や疲労により、筋が持続的に収縮し代謝が亢進し、エネルギーの要求量が増大します。
一方で筋肉の血管は圧迫され循環が阻害されてエネルギーの供給が不足します。(エネルギー危機説)それを修復しようとして、種々の炎症性物質が放出されるので痛みが生じるわけです。筋肉の一部に強い痛みを生ずる部分(トリガーポイント)を有することが特徴です。
慢性疼痛は、どのようにすれば治るのですか?
薬物治療、神経ブロック、電気刺激療法、レーザー、直線偏光近赤外線、リハビリテーションなど様々ありますが、なかなか完治しない例が多く見受けられます。
一つには心因的影響が強くなり痛みの悪循環に陥ります。しかし痛みを軽減することはできるので、本人が痛みに対して自覚することが大切です。
急性疼痛は、外傷や疾患が完治すると痛みは消えていきますが、慢性疼痛は痛み自身が疾患なのです。


梗塞とはなんなのですか?
神経組織の一部で血流が停止することを虚血と呼びます。正常に存在する代償機構によってこの血流停止を補うことが十分に出来ない場合に、虚血の結果として梗塞が生じるのです。
代償機構とはどういうことなのでしょうか?
血管の中にじわじわ血栓が出来た場合は、血液の流れが悪いところが補てんしてくれるので症状が出にくいのです。内頚動脈にできた血栓がはがれて、脳のより細い血管を突然ふさいだ場合、脳は血流を補てんすることができなくなります。そのためエネルギー源としての酸素と糖の供給がたたれ、脳細胞は数分で機能を停止します。その結果、脳細胞からの運動指令ができなく、また、手足からの感覚情報を受け取ることができなくなり、"マヒ"という状態になります。これが脳梗塞です。
内頚動脈という話が出たのですが、首と脳の関係はどうなっているのですか?
頭に血液を送り込む血管は心臓から出て首で4本の大きな血管に別れ、その後さらに6本の血管に別れています。血管は心臓から離れるにしたがって段々に細くなります。首の中の動脈(内頚動脈や大きな血管)ではがれた血栓が、脳の中より細い血管に流れていけば、つまってしまいます。したがって内頚動脈内の血栓を外科的に剥離しておけば脳梗塞の予防になります。
脳梗塞の予知はできるのですか?
一般的に予知することは困難ではありますが、次に挙げる三つの点には注意してください。
1.何らかの動脈硬化の所見が認められ60歳以上で高血圧の症状があり頭重感、めまいなどが頻繁に出没する場合  <慢性脳循環不全症>決して不定愁訴として片付けてはいけません。 
2.マヒ、しびれなど突然起こるが24時間以内に自然にその症状がおさまった場合<TIA(一過性脳虚血発作)> これ は小さな血栓がつまることによって起こるのですが、血栓が自然にとけて血流が再開された状態です。この場合その後大きな梗塞を起こす可能性が大です。
3.明らかな脳卒中の発作あるいは、神経症候がないのにCT、MRIにて小梗塞巣が散見されるケースは良く見られます。<無症候性脳梗塞>これは脳の動脈硬化を反映したものと考えられ予防的な治療が必要です。
他に脳梗塞の予防を教えてください
高血圧、糖尿病、高脂血症脳梗塞の危険因子なので、これらを治療することは当たり前のことなのですが、ここで大事にしたいのは不整脈(心房細動)です。この場合心臓内に血栓をつくりやすく、この血栓がはがれて脳の細い血管につまり脳梗塞を起こします。このケースは度々あります。こういう不整脈がある方は抗血栓療法をおすすめします。
血圧と脳梗塞の関係を教えてください
脳血流量に影響を及ぼす因子としては脳灌流圧・血液粘調度・血管径があげられます。脳血管は灌流圧の変化に対して、血液量を常に一定に保つ機構を持っている(自己調整機能)。この自己調整機能には限界があ通常、平均圧の600〜150mmHgの間で血流を自動的に保っているのですが、高血圧の人や高齢者は血流調整が働きにくいのです。動脈硬化により内啌が狭くなったり蛇行した血管は血圧の影響を受けやすく血圧が下がりすぎると脳灌流圧が低下し血流が遅くなります。そうすると血栓が出来やすくなります。特に夜間の血圧低下に注意が必要です。
                                                               

日常的な頭痛に悩まされています。深刻な病気ではないかと悩んでいますが・・・
頭痛にも原因は色々あって、最も多いのが「筋収縮性頭痛」です。頭の表面にある筋肉の痛みで、頭、首、肩などが鬱血、充血することで発症します。頭が重い・締め付けられる・目の奥が痛むなどの症状が出ます。頚椎の異常も後頭部の頭痛となって表れます。
俗に「偏頭痛」といわれるものは、頭皮の欠陥が異常拡張して起こるものです。周辺的に症状が出ることが多く、頭の片側がズキズキと激しく痛み、多くは吐き気を伴います。
冒頭にも言いましたが、脳は痛みを感じません。頭痛は脳をとりまく組織の異常によって起こるものです。痛みを発するのは頭皮、頭を覆っている頭蓋骨、頭皮下の欠陥、神経、頭骸骨などで頭蓋骨外からの痛みが原因です。激しい痛みを感じる場合もありますが、いずれも「良性」でありますから、心配はいりませんよ。
生命に関わる悪性頭痛は、どうやって見分ければよいのでしょうか?
「脳腫瘍」は、頭蓋骨にできた腫瘍がまわりの血管を圧迫したり、硬膜と癒着して牽引性の頭痛を生みます。激しい痛みは少なく、全体的な鈍痛です。頭痛のはかに吐き気・しびれ・めまい・耳鳴り・顔面の痛み・視力低下・嗅覚低下・物が二重に見える・まぶたが腫れるなどの神経症状を伴うのが特徴ですね。
「くも膜下出血」の場合は、脳動脈瘤が破裂して脳と頭蓋骨の間にある「くも膜腔」に出血し、くも膜を刺激して頭痛が起きます。突然、今まで経験したことのない頭が割れそうな痛みと吐き気を起こします。こうした症状が出たときは、ただちに専門医の受診を受けてください。
高血圧でも頭痛が起こると聞きましたが、本当ですか?
欠陥の収縮期圧が220以上、拡張期圧が110以上になれば、脳内を流れる血流量の自己調整機能に異常が生じ、頭がズキズキ痛む「血管性頭痛」を起こします。低血圧でも同様ですが、血圧が頭痛の直接の原因になることはないですね。このほかに、二日酔い・貧血・低酸素・低血糖・ワインの飲みすぎでも、欠陥拡張による「血管性頭痛」は起こりますよ。
頭痛の痛みの表現はあいまいで、数年来頭痛に悩まされている方でも良性だったり、心身症や不安神経症・抑鬱神経症が原因の場合も少なくありません。
めまいがして病院に行っても、異常がありません。
家族には「気のせい」と言われるのですが・・・
めまいには、景色や天井がグルグル回る感じがする「回転性」、体がフワフワする「非回転性」、まっすぐ歩けない「平衡失調」、「立ちくらみ」があります。症状の多くは回転性で内耳の異常が原因の「末梢性めまい」です。中高年層に多い「良性発頭位めまい」は、起床時に急に頭の位置を変えることで、回転性のめまいが誘発される内耳の病気です。また「メニエール病」は、めまい・耳鳴り・難聴がセットでやってきます。生命に関わる危険はなくても、中には放置すると難聴になる病気もあるので、早期治療を行ってください。
悪性のめまいとは、どんな症状ですか?
注意したいのは、頭痛・めまい・嘔吐の三つの症状が同時に襲う場合いで、このような症状は危険の兆候です。口唇の周囲のシビレ、ろれつが回らなくなる、まっすぐに歩けないなどの症状をともなう場合、小脳、脳幹部の出血、梗塞を疑います。軽い発作を繰り返しながら、徐々に症状が進む場合もあります。進行性の耳鳴りや難聴は、脳腫瘍の心配がありますね。また、脈拍と同期する激しい耳鳴り・めまいは要注意です。
高齢者で注意したいめまいとは?
めまいの診断のポイントは、まず症状が本当にめまいかどうかをはっきりさせること。「いつもふらふらする」「ぼんやりと気が遠くなる感じ」といった症状は、実は「回転性」めまいではないのです。いわゆるめまい感です。六十歳以上に多いこれらの症状は「椎骨動脈」・「脳低動脈」などの動脈硬化によって起こるもので、治療に急を要する場合があります。
脳循環不全という言葉を聞きますが・・・
脳の血流量は、一定に保とうとする力が働き血圧が180mmHgの人も80mmHgの人も変化はありません。しかし高齢者の場合、この脳血流を一定に保つ働きが悪くなり、血圧を下げることで脳血流量が低下し、ふらつきなどの症状が出ることもあります。最悪の場合、脳梗塞を起こすこともあります。
頭痛・めまいなどの症状が出た場合、どういう検査をされるのですか?
まず詳細な病歴を聞き、眼振があるかをチェックします。神経耳鼻科的検査のほかに、最近はCT(高速らせんCT)やMRIなどで簡単に脳に脳血栓造影ができ、有用と思います。
「頭痛」や「めまい」は、病気の早期発見を促すSOSです。良性のものも症状の原因を知れば適切な対応ができるでしょう。無用な不安に悩まされることなく明るい知識をもちましょう。
                                                                                                                  
顔で脳の異常がわかるというのは、どういう意味ですか?
”顔”は脳の働きによって作られます。見る、聞く、嗅う、噛む、味わう、笑う、目を閉じる、目を動かす、これらの行為はすべて脳の神経が関係しています。
脳からは左右それぞれ12本の神経が出ています。字面からその役割がわかる「視神経」「聴神経」「嗅神経」のほか、顔の表情を作る「顔面神経」、顔の感覚を伝える「三叉神経」などがあります。これらの脳神経に障害(動脈瘤、梗塞、出血、腫瘍、炎症)が起これば、顔に異常が表れます。たから、『顔の変化で脳の異常がわかる』のです。
この頃、物が二重に見えるのですが・・・
”目”の働きに関わっている「動顔神経」・「滑車神経」・「外転神経」は目を上下、左右に動かし、瞳孔の調整を行います。「動顔神経」が麻痺すると、物が二重に見えたり、光がまぶしく見えたり、まぶたが自然と下がります。ただ、勘違いしていけないのが、『二重に見える』のと、『ボーっと見える』のは違うということです。物を見るとき、両眼が同調して動いて見えるのですが、どちらかの神経に異常があれば両眼が同じ動きをせずにずれるため物がタブって見えるのです。
顔面神経痛という言葉をよく聞きますが
顔にしわを寄せる、目を閉じる、口を結ぶ、笑う、泣くなど顔の表情を作るのは、すべて「顔面神経」です。この「顔面神経」は運動神経ですから炎症、脳梗塞などで麻痺します。痛みとは関係ありません。目が閉じない、口からよだれがこぼれる、額にしわができないなどの場合は、「顔面神経麻痺」です。脳・耳鼻科領域の病気で多く起こります。また、この神経は一部自律神経も含んでおり、涙や唾液の分泌、舌先の味覚もこの「顔面神経」の働きです。
顔の痛みについて教えてください
顔に関わる神経では「三叉神経」が重要です。「顔の感覚がない」「顔が痛い」という場合はこの神経を疑ったほうがいいです。「三叉神経」は顔全体の感覚に関係しているので、歯がいたいというのも根っこは「三叉神経」なのです。動脈瘤、腫瘍のほか副鼻腔炎などで起こることがあります。ちなみに、顔面神経痛という病名はありません。三叉神経です。
顔がピクピクするのですが
まぶたが痙攣する場合は「眼瞼痙攣(がんけんけいれん)」、顔面の半分が引きつる場合は「半側顔面痙攣」です。これも先ほどの「顔面神経」の異常で起こります。これらの痙攣については、最近、ボツリヌス菌を使って治療ができるようになりました。治療効果が高く、有効率90%以上です。
他の脳神経についても教えてください
「視神経」の異常では、視野全体が暗く見える、視野の半分が見えない。外側・内側が見えにくくなります。例えば、左側から人が近づいても気が付かないなどの症状は「視神経」の異常です。脳梗塞・下垂体腫瘍などで起こります。
耳鳴り、難聴、めまいは「聴神経」の障害によって起こります。片方の耳に耳鳴り、難聴があり、また、その症状が進行性の場合は、腫瘍の可能性があります。
「嗅神経」の異常では、においがしない場合があります。その場合、前頭部下部の腫瘍の恐れがあります。
舌の働きを支配する「舌下神経」の麻痺では、舌を真っすぐに出せないので、言葉(らりるれろ)が言いにくくなります。この「舌下神経」も脳梗塞などで麻痺しやすいです。
飲み込む、嘔吐、せき、発生は「舌咽神経」・「迷走神経」の働きで、この神経の障害で、飲み込み障害、声がかすれる、しゃっくり、いびきをかくなどが生じます。
「迷走神経」は、自律神経として心臓のリズム、胃腸の動き、発汗、排泄などを調節します。この神経はいわゆる体中を迷走しているわけです。
他に顔でわかる病気はありますか
『パーキンソン病』では、仮面のように無表情で、顔に表情がない、脂っぽい、まばたきが少ないなどの特徴があります。
今回は「脳と顔の関係」について取り上げましたが、大病にならないためには、体の変調に早く気づき、正しい知識をもって対応したいものです。
                                                              

今回シビレを取り上げられたのはなぜですか?
シビレとはジンジンとかピリピリというように、自分の感覚を表現する擬態語、あいまいなんですよ。人によってそれぞれ違いがあります。そして間違えてとらえられていることの多い症状の一つなんです。きちんと正確にシビレを理解していただきたいために取り上げました。
シビレが起きる原因は何ですか?
シビレは脳や脊髄、末梢神経の病変によって起こります。シビレをジンジンとチクチクにわけると、ジンジンは太い神経(有髄神経)、チクチクは細い神経(無髄神経)の障害によって起こります。太い神経は圧迫されることで循環障害になりやすく、細い神経は科学的物質などの中毒によって障害されやすいものです。
後頭部がジンジンするのですが、脳の異常ではありませんか?
その症状で受診される人は結構多いのですが、実は顔面以外の頭部の感覚は、頚髄(けいずい)神経の支配であり、後頭部のジンジン感の原因は首の異常なのです。脳の異常ではなく、首の神経根が原因なのです。
首の神経は上肢を、腰の神経は下肢を支配しています。例えば、第2頸神経の異常では後頭部のシビレが、第5、第6の頸神経の異常では親指と人差し指にシビレが、第7、8頸神経の異常では小指のシビレが生じます。
腰のヘルニアでは下肢のシビレや痛み(坐骨神経)が表れます。また、胸髄の異常で肋間神経痛が起こります。脊髄の場合は両側性にシビレを生じます。排泄、排便障害を伴うことが多いのが特徴です。脊髄腫瘍や椎間板ヘルニアの場合、同時に神経根部の障害を伴うことが多く、症状が複雑になります。
手指がシビレますが、なぜですか?
慢性的な神経の圧迫によってシビレが生じます、手の人差し指・中指・薬指のシビレは手根管症候群といって、正中神経が手首のところで圧迫されて起こります。また、小指のシビレは、肘のところで尺骨神経が圧迫されて起こります。
脳の神経のメカニズムについて教えてください
脳の神経は、運動神経と感覚神経に分けられます。例えば、顔面神経は運動神経が主体であるため、痛み、シビレは生じません。麻痺するだけです。しかし、三叉神経、舌咽神経は感覚神経が主体であるため、シビレ、痛みが生じます。顔の全ての感覚は三叉神経で眼や歯の痛みは全て三叉神経が原因なのです。舌咽神経は口腔内のシビレと痛みを生じます。
脳の感覚神経は、身体の細部にわたってそれぞれの支配領域が決まっています。
どんなシビレが気をつけなくてはいけませんか?
一般に阪神の場合は脳梗塞、脳出血などの脳血管障害を考えます。
体幹部を不生めて両側性なら脊髄の異常。両側性四肢の遠位部のみの場合、糖尿病をはじめとする内科疾患を考えます。
前述したように顔面にシビレがある場合は、脳の疾患を考えます。(帯状疱疹)ウィルスは、末梢神経に感染し、肋間神経、顔の三叉神経などに感染し、ジカジカした痛みを生じます。シビレの症状は末梢性か中枢性かを見極めることが重要です。
先日、反射性交感性ジストロフィーと診断されましたが、どのような病気ですか?
外傷などによって末梢神経が傷つけられると、しばらくして痛みやシビレが生じます。障害を受け末梢神経と交感神経との異常関連によって起こります。交感神経の活動を遮断すると直ります。
                                                               

                                   


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