「大きなおはたらき」 神埼組 大立寺 平尾法道師

私の子どもが小さい頃、ある育児書を読んでいるととても興味深いことが書かれておりました。赤ちゃんは初め言葉がしゃべれませんが、この子が成長していくうちに色んな言葉を覚えていきます。最初に覚えて発する言葉は何だと思われますか?大体の子どもが「マンマ」という言葉を発すると思われます。このマンマという短い言葉が赤ちゃんの口をついて出てくるまで、この赤ちゃんは一体どのくらいの言葉を聞いてきたのでしょうか。実に九千語あまりの言葉を聞き続けることによってマンマという言葉が出てくるそうなのです。お母さん、お父さんが、たくさんたくさん、生まれる前から語りかけてきたことでしょう。その言葉・声を聞き続けに聞いて初めてマンマという言葉がでてくるのだそうです。「だから赤ちゃんにはたくさん言葉をかけてあげてください」とその本には書いてありました。

この話を読みつつ、私はふとお念仏のことを思い起こされました。「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」今称えて聞いているのは私でありますが、そこに称えさせ聞かしめんとしている大きなお働きがあったことに気づかされたのです。私は初め、お仏壇の前に座り手を合わすことも知りませんでした。お念仏申すことなど毛頭知り得ませんでした。しかし、この度は、父母とのご縁を頂いてお仏壇に座り手を合わせることのできる、お念仏を申しながら感謝のうちに生活をおくらさせて頂けるお育てを賜りました。また、ご門徒のお年寄りが信玄袋さげてお寺参りされる後姿見させてもらいました。そのようなたくさんの善知識の方々のお働きがあったからこそ、横着者のこの私の口から尊いお念仏が自然とこぼれでて下さっているのです。称え聞いているのは正真正銘この私でありますが、称えさせ聞かしめんとしておられる阿弥陀如来の大きなお働きあってこそと気づかさせ、仏の願いが私にあることを知らされゆくことこそ、お念仏を聞く、ご信心頂くということでありましょう。

|戻る|