「ショーカエロー」 白石組 西光寺 西昭文師

暑い夏になると、思い出す幼い頃の風景と声があります。

それは、タライに何匹ものムツゴロウが活けてあり、串焼きにするために、そのムツゴロウを活きたまま串に刺すときの祖母の姿と

「ショーカエロー。ショーカエロー。ナマンダー」と申し訳ないように言う声です。

「ショーカエロー」とは「生を変えろ」つまり「生まれ変わってこいよ。今度はお念仏称える身になってくれよ」ということで、ムツゴロウさん、あなたは海で、あなたの命を精一杯生きてきたのに、今私に串刺しにされている。誠に申し訳ございません。でも、あなたの命を貰わねばお客様をもてなすことができません。ごめんなさいね。どうぞ今度は人間界に生まれ変わって、さとりの命となれる「ナマンダブ」お念仏に遇って下さいね、と言っていたのだと味わっています。

私たちは、今、人間の命を恵まれて、何にであっているのでしょうか。

お釈迦様のお言葉に「たとい百歳の寿命を得るも、無上の教えに会うことなくば、この教えに会いし人の 一日の生にも及ばず」とあります。長生きもよいが、本当の命の世界に目覚めることこそすばらしいと。

仏さまは私が気付こうが気付くまいが、わかろうがわかるまいが、この私を「落とすわけにはいかんぞ。必ず浄土へ、さとりの命へと渡すぞ」と南無阿弥陀仏の声となって届いて下さっているのです。仏さまに思われているのに、それを忘れて煩悩の日暮らしを続けている私であります。気付かせていただいたならば、少しでも親様の、仏さまのことを聞かせていただきましょう。

お盆の時期、先立たれた方が、「空しいいのちで終わるなよ。お念仏にあわせてもらっているか」と呼びかけて下さっています。

|戻る|