「いのちのめざめ 自然に学びお念仏に習う」 松浦組 尊光寺 荒木月秋師

庭先の 人知れず這いのびる蔓には 晩秋を惜しむように 蕾と花が 精一杯息づいて 日ごと誇らしく咲き 美しく咲き終えています。

無駄のない生き方 粗末のない在り方に 感服します。

慎ましい草花に 学ぶことは いつも欲と瞋りと愚痴の刺で 人を責め裁く 身勝手な思考や行為の 処遇であります。このままでよいのかの 不安であります。

長引く中近東の戦乱で 生活の場を追われ 自由と平和を奪われた難民は 地獄の生活に 苦しみ疲れ また交戦国間での死傷者は 増大しています。

人命を犠牲にし 人権を無視する行為は 生態系の法則に違い 人道主義に反しています。急いでしなければならないのは 紛争を癒し自由と平和を回復する 処方箋でありましょう。

著作家水上勉氏は 晩年 いのち儚い一滴の露に 宇宙の全生命が 息づいているのを観て 自分の力で生きてきた 主張や行為は 驕りであった。常に子どもの成長を願う親心に 温められてきた ご恩のいのちであったと 感無量に話されています。

いのち尊しとは ご恩のいのちに 生かされて生きる自覚であります。いのちを粗末にしない 無駄なく生きる 価値の転換でありましょう。

生れ、育ち、本質、能力を異にする個々は 互いに相俟って 生起しています。仏教では ”縁起”といいます。

縁起は 価値の転換を立場としています。存在するすべて 差別のままで平等であり 平等でありつつ差別の姿をとる。即ち 存在が 何一つ無駄はない どれ一つ粗末でない 意味と価値を追求する思想であります。

この縁起の法則を自覚し 悟りを達成されたのが 仏であります。

お念仏に習う味わいは 仏の教えを聴聞し、仏に念ずる生活であります。それ以外に自由と平和をもたらす 処方箋はありません。

夜昼つねに 生老病死に息づく ご恩のお念仏を大切に 相続いたしましょう。

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