「触光柔軟の願い」 巨瀬組常立寺 太宰了之師

まだまだ寒い日が続いておりますが、間違いなく、春がやってきます。そのことを喜んで待ちましょう。 さて、こんな話を聞きました。

それは、ある町のお医者さんの話です。このお医者さんはとてもご法義のあるお医者さんでした。
ある日のこと、顔見知りの奥さんが血圧を高くしてその病院にやってきた。「先生、見て頂戴」。血圧を測ると200近い。先生は、「どうしてそんなにカッしとるの」と聞くと、「実家の兄さんが病気で入院したので、90近い私の母をしばらく、私の家で預かることになったけど、どう世話したら兄嫁さんに合格点つけてもらえるか。家の主人や息子夫婦らに負担や迷惑のかからぬように、と考えはじめたらもう、血圧が上がってしまって。注射か薬で下げてよ」という。

先生は、「それは注射や薬の話ではない。念仏の話だ。いいか。この病院は町の小さな病院、それが大学病院など大きな病院並みの診察しようと背伸びして、いいとこ見せようとするのが間違い。こんだけの私ん所と町医者は町医者なりの精一杯をして、あとは何を言われても受けて行く。それだけでうちはやっとるんだぞ。
いい顔したがるな、いいとこ見せようとするな。分に応じて精一杯してゆくだけ。わかったか」。
奥さんは「ああそういうことだねー、先生、本当にそうだったわ」。
奥さん納得して顔が明るくなった。
「さあ、もう一度計るぞ」と計ると、なんと160台、平常に下がっている。
「見ろ、注射も薬もいらず、念仏の話一つで下がったろ」と言う話です。

阿弥陀さまの願いの中に、触光柔軟の願いがあります。み教えに出会えば、身も心も柔らかになると仰せです。お聴聞に励まして頂きましょう。

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