「人間ってなんだろう?」     北山組 光照寺若院 右近隆城

 近頃、犬と歩いていると色々な事に気付かされます。

犬は下ばかり見て歩きます。私は周りの景色ばかり見て歩きます。

同じ動物なのにここまで違うのです。

そして、犬は外を歩けるだけでも、凄く喜び尻尾が千切れるのでは無いかと思うくらい感情表現をします。

一緒に歩く私は少し面倒くさいと思いながら、桜や石楠花、野山に咲く花を見ながら進んでいきます。

 私たちは今生かされている事をどれだけ喜べているのでしょうか。

無い物を求め、有る物にも不平不満の毎日ではないでしょうか。

犬と人間の大きな違いは御存知のとおり四足歩行と二足歩行です。

私たちは二足歩行により手を使うことが出来ます。

しかし、その手を武器を持ったり、人を傷つけたりするために使っていませんか。

 『仏説無量寿経』の四十八願の第一番目に

 たとひわれ仏を得たらんに、国に地獄・餓 鬼・畜生あらば、正覚を取らじ。『注釈版聖典』より

と誓って下さいました。

地獄・餓鬼・畜生は自分の事ではなく、他の世界だと拝読し、私は人間だ、犬や猫より賢いんだと嘘吹きながら生きてはいないでしょうか。

 もう、かなり前になりますが、或るお宅へお参りをしました。その時、お茶を頂きながらテレビで話題になってる話しをしておりました。

すると、その方が「若院さん、私たちもこの人を責める事は出来んもんなんた。ただ、縁が無くてせんやっただけでしょうが」とおっしゃいました。

自分の来し方を振り返り、悪事の縁が整わなかっただけなんだと述懐される姿を今でも思い出します。

 他人の生き方をとやかく詮議し、命終わって行く世界なんだと目を反らし、今を直視していたでしょうか。人間らしく生きていますか。

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