「お慈悲はやさしい」       三根組 徳常寺住職  塚本 慈顕

 

 ” 寒いね と 話しかけると

     寒いね と こたえてくれる人のいる あたたかさ ”


 この歌は、エッセイストであり歌人の俵万智さんの短歌です。

 今年の冬は、随分と寒い日がつづきました。

 私たちの日常生活の中で、当たり前のようにでてくる会話のやりとりです。

 ” 寒いね”と言えば、そのままの言葉で ”寒いね”とかえしてくれる人が身近にいてくれる。

それが、” あたたかい” というのです。

 いつの時代でも、人の言葉の意を汲まず、言葉を逆手にとって責め批判しようとする人は多いものです。しかし、そこには淋しさと悲しさが残るだけです。

 私たちは、自分の言葉や思いを ”そうですね” とか ” そうね ”といって、受け入れて下さる人があると、大変嬉しく感ずるものです。

 今、聞かせていただく私たちのほとけさまを、阿弥陀さまと申します。

 この仏さまは大変やさしくて、私たちのありようや、落ち度欠点を決して裁いたり責めたりはされません。

どこまでも大きなふところをもって、私のいのちごと全部を完璧に受け入れて下さってあるのです。

 お互いの人生は、むさぼりといかりにまみれ、愛と憎しみにまどいゆくことが多く、身のおきどころないほど苦悩してゆかねばなりません。そのことひとつひとつを ” そうね ” ” そうだよね ” と自らの問題としてひき受け、やさしさいっぱいのお慈悲をたたえて、 ”心配いらないよ ” ” 安心していいよ ” と、つねによびかけていて下さってあるのです。

 そのよびかけが、今 ” ナモアミダブツ ” と私の口をつらぬいて出てくださるまでになって下さいました。

本当にありがたいことであります。なまんだぶっ・・・

 

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