「おんちゃさん」  藤津西組 安徳寺 森脇一弘

 

 

 今年も御本山において、御開山様の御命日法要である御正忌報恩講が、賑々しくお勤まりになりました。わたくしの自坊でも年明け早々に門信徒の方々と法要の準備にとりかかり、皆さんとともに大切な法要を勤めさせていただき、住職として何よりのこととよろこんでおります。

 

 さて、浄土真宗必携『み教えと歩む』には、報恩講とは、親驚聖人の御命日にあたって、阿弥陀如来の本願を聞きひらき、味わいを深めさせていただく、真宗門徒にとって一番大切な法要です。」とあります。

でも・・・いかがでしょう・・・ご門徒の中でどれだけの方々がこのような思いを報恩講にお持ちくださっているでしょうか。

 

 ところで、ここ二三年ほどでしょうか都会を中心に、ハロウイン」という行事が、いつの間にか、しかもにぎやかに行われ始めているようです。その是非はともかくとして、そもそもこれはイギリスの古代ケルト人の中で行われていた収穫祭が、キリスト教に取り込まれてきたものであるようです。主な特徴は、子供たちがお化けの仮装をして、近くの家々を訪れてお菓子をもらったりするところにあります。

 私のお寺の近くのある何ヶ所かの地区では、毎年1月15日の晩に 地区の子供たちが集まり一緒に各家を廻る行事があります。子供達は家ごとのお内仏に御参りをして、「結構なおんちやさんです」とお家の人に挨拶をします。そしてお参りと挨拶のあとは、お家の方が用意して下さったおいしい飲み物やお菓子を一緒にいただくというものです。

 
 このハロウイン」とよく似た行事は、おんちやさんと呼ばれています。昔から子供たちはもちろんのこと、地域の方々にとっても楽しみな、同時に大切な行事として行われてきました。そもそも「大逮夜さんからなまったこの行事は、子供の行事として行われるものです。しかし、子供達が自分達から始めて行っているのではありません。

それは、子供達のことを思い、子供達の為に、大人の側より用意された行事です。子供達は、報恩講のお荘厳が整った各ご家庭のお内仏にお参りをし、報恩講がどれほど大事な行事であるかが自然と気付かされるようになります。

つまり、「おんちゃさんは子供達に@御開山を大切なお方であることを知らせる。Aその御開山がよろこばれた南無阿弥陀仏のみ教えを、「大切なことだよ。大事なことだよと知らしめるために大人の側から用意された尊い行事なのです。

おんちやさん」は、有縁のものを導いていこうとするお手廻しのこころにあふれています。

 

 我々の報恩講は、私の方が御参りすることを、大切にした、勤めていた、とよろこんでいるのではありません。
私の思いに先んじて用意されたものに、ご開山の御苦労を知らされたのです。そして御開山の御苦労により、如来本願のおこころにふれ、お育てをいただき、味わいも深めさせていただいておりました。
そのお手廻しのおこころご恩を、よろこばせていただくご勝縁が、報恩講でありました。

 

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