「花まつり」 佐賀教区正蓮寺  藤木徳仁

 

 

 四月八日は毎年お釈迦様のお誕生をお祝いする花まつりです。

昔も今も変わらずお釈迦様の像に甘茶をかけてお参りします。

その像をよく見ると右手の人差し指を空に向け、左手の人差し指を地面に向けておられます。

これは、お釈迦様がお生まれになられたおり地面を七歩歩まれた後、立ち止まられ空と地面を指示され「天上天下唯我独尊」とおっしゃられたの教えによるものです。

 

 このお言葉は「この広い世界中で最も尊いのは私です」と宣言されているのですが、私は大きく二つの意味があると味わっております。

まず一つは、これはお釈迦様ご自身のことと言うよりも、私たちを代表して私のいのちは世界中に私しかいない大切な命であり、そこから全てのいのちが優劣無く平等であるという事実を宣言くださっているのです。

考えてみれば、お釈迦様が誕生されたインドでは現在でもカーストと言う身分差別が機能しており、様々な社会問題が続いています。まして、お釈迦様がご誕生になられた三千年前のインド社会において、この宣言は極めて反社会的であり非常識な言葉だったに違いありません。

しかし、あえてそのタブーを壊された、真の人権宣言と言えるものです。

もう一つは、お釈迦様のご誕生はそのままが仏教の誕生を示していることです。その意義は、宗祖も教行信証の中に、仏教の説く慈悲がもととなって、その後中国や韓国に伝わり、仁・義・礼・智・真といった五常思想が生まれていることを示され、それが現代日本において、世界から賞賛される国民性を生み出すもととなっているとも考えられるからです。

しかしその一方でご門主様も示される通り、日本だけではなく世界中に様々ないのちに係わる社会問題が山積している時代にあって、仏の教えは「濁世の目足」として今の私たちの歩むべき方向を示し導き続けていて下さるのです。それは先のお言葉に続けて「三界皆苦、吾当安之」と「この不安の多い世の中にあって」本当の安らぎを与える」との仏の教えの目的を示されたお言葉からも味合わせて頂くことができます。

 

 だからこそ、お釈迦様のご誕生を、天地の神々も、大自然も祝福され、甘い雨を降らして慶ばれたのであります。