「知らされる」  白石組正徳寺 浦霧 慶哉

 

 

 先日、犬を飼うことにしました。この犬は、一歳になるまで飼う人がおらず、一年間ずっとペットショップの中だけで過ごしてきた犬でした。外に出ての散歩は何回かだけだったそうです。

 

この犬は、ペットショップの世界が全てで、外の世界を知らずに過ごしてきた犬でした。

家へ来て散歩に連れ出そうとしますが、怯えてか、なかなか外に出ようとしません。どうにか外に連れ出しましたが、風で草木が音を立てて揺れる様に驚き、じっと耳を澄ませておりました。

 

その姿を見て、風の存在も知らず、風が当たって木の葉が音を立てることも知らずに、これまできたのだなと思いました。と同時に、この私も自分の作り上げた世界が全てで自分の見方をあてにし殻に閉じこまっておるのでははなかろうと思いました。犬が風の音を知らなかったように、娑婆の迷いの世界が全てと思ってしまっておるのではなかろうかと思いました。

 

 犬は、外に出て風にあたり、広い世界を知りました。

私どもは、お念仏(仏様のはたらき)にであい、おのれの愚かさ、そらごとたはごと、まことあることなき身、嘘偽りの多く真実の無い我が身と知らされます。

お念仏(仏様のはたらき)という真実のはたらきにであうことで、不確かなこの世のありようが知らされます。

真実によって、真実にであうことで、偽なるものがわかります。

お念仏に出会い清らかな世界、お浄土を知りました。

綺麗なものにであうことにより、よごれたものがわかります。

おのれ中心のこの私が、お念仏のはたらきにより、自分の危うさ、愚かさが知らされます。

 

 

戻る