現在、国連では障害者権利条約が議論されていて、障害者権利条約に関する国連総会のアドホック委員会
第7回特別委員会が2006年1〜2月に国連本部において開催された。修正議長草案第24条は、この特別委員
会の最終日に採択されたものです。また、第8回特別委員会が、2006年8月に開催され、最終日の8月25日に
権利条約案が採択されました。
障害のある人の権利に関する条約 第24条教育
川島聡・長瀬修 仮訳(2007年3月29日付訳)
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1
| 締約国は、教育
についての障害のある人の権利を認める。この権利を差別なしにかつ機会の平等を基礎として実現するため、締約
国は、あらゆる段階におけるインクルーシブな教育制度及び生涯学習であっ
て、次のことに向けられたものを確保する。 |
(a)
| 人間の潜在能力並びに尊厳及び自己価値に対する意
識を十分に開発すること、並びに人権、基本的自由及び人間の多様性の尊重を強化すること。 |
(b)
| 障害のある人が、その人格、才能、創造力並びに精
神的及び身体的な能力を最大限度まで発達させること。 |
(c)
| 障害のある人が、自由な社会に効果的に参加するこ
とを可能とすること。 |
2 | この権利を実現
するため、締約国は、次のことを確保する。 |
(a)
| 障害のある人が障害を理由として一般教育制度から
排除されないこと、並びに障害のある子どもが障害を理由として無償のかつ義務的な初等教育又は中等教育から
排除されないこと。 |
(b) | 障害のある人が、自己の住む地域社会において、他
の者との平等を基礎として、インクルーシブで質の高い無償の初等教育及び中等教育にアクセスすることができる
こと。 |
(c) | 個人の必要に応じて合理的配慮が行われること。 |
(d)
| 障害のある人が、その効果的な教育を容易にするた
めに必要とする支援を一般教育制度内で受けること。 |
(e)
| 完全なインクルージョンという目標に則して、学業
面の発達及び社会性の発達を最大にする環境において、効果的で個別化された支援措置が提供されること。 |
3
| 締約国は、障害
のある人が地域社会の構成員として教育に完全かつ平等に参加することを容易にするための生活技能及び社会性の
発達技能を習得することを可能としなければならない。このため、締約国は、次のことを含む適切な措置をとる。 |
(a)
| 点字、代替的筆記文字、拡大・代替コミュニケーシ
ョンの様式、手段及び形態、並びに歩行技能の習得を容易にすること、並びにピア・サポート及びピア・メンタリ
ングを容易にすること。 |
(b) | 手話の習得及びろう社会の言語的なアイデンティティ
の促進を容易にすること。 |
(c)
| 盲、ろう又は盲ろうの人(特に子ども)の教育が、そ
の個人にとって最も適切な言語並びにコミュニケーションの様式及び手段で、かつ、学業面の発達及び社会性の発達
を最大にする環境で行われることを確保すること。 |
4
| この権利の実現を
確保することを助長するため、締約国は、手話又は点字についての適格性を有する教員(障害のある教員を含む。)
を雇用するための並びに教育の全ての段階において教育に従事する専門家及び職員に対する訓練を行うための適切な
措置をとる。その訓練には、障害への認識、適切な拡大・代替コミュニケーションの様式、手段及び形態の使用、並
びに障害のある人を支援するための教育技法及び教材の使用を組み入れなければならない。 |
5
| 締約国は、障害の
ある人が、差別なしにかつ他の者との平等を基礎として、一般の高等教育、職業訓練、成人教育及び生涯学習にア
クセスすることができることを確保する。このため、締約国は、障害のある人に対して合理的配慮が行われることを
確保する。 |
修正議長草案の【 第24条 教育 】(2006年1月)
1 締約国は、教育についての障害のある人の権利を認める。この権利
を差別なしにかつ機会の平等を基礎として実現するため、締約国は、次のことを指向する、あらゆる段階にお
けるインクルーシブな教育及びインクルーシブな生涯学習を確保する。 |
(a) | 人間の潜在能力並びに尊厳及び自己価値に対する
意識を十分に育成すること、並びに人権、基本的自由及び人間の多様性の尊重を強化すること。 |
(b) | 障害のある人が、その人格、才能及び創造力並び
に、精神的及び身体的な能力を最大限度まで発達させること。 |
(c) | 障害のある人が、自由な社会に効果的に参加する
ことを可能とすること。 |
2 この権利を実現するため、締約国は次のことを確保する。
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(a)
| 障害のある人が障害を根拠として一般教育制度から
排除されないこと、並びに障害のある子どもが障害を根拠として無償のかつ義務的な初等教育及び中等教育から
排除されないこと。 |
(b) | 障害のある人が、自己の住む地域社会において、他
の者との平等を基礎として、インクルーシブで質の高い無償の初等教育及び中等教育にアクセスすることができる
こと 。 |
(c) | 個人が必要とするものに対する合理的配慮 |
(d)
| 障害のある人
が、その効果的な教育を容易にするために必要な支援を一般教育制度内で受けること。
障害のある人の個別的な支援ニーズを[十分に満たすため] [一般教育制度が十分に満たすことができない環境において
は]、締約国は、完全なインクルージョンという目標に即して、学業面の発達及び社会性の発達を最大にする環境に
おいて、効果的で個別化された支援措置が提供されることを確保する 。 |
3 締約国は、障害のある人が地域社会の構成員として教育に完全かつ平等に
参加することを容易にするための生活技能及び社会性の発達技能を習得することを可能としなければならない。この
ため、締約国は、次のことを含む適当な措置をとる 。
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(a)
| 点字、代替スクリプト、コミュニケー
ションの補助的及び代替的な様式、手段及び形態、並びに歩行技能の習得を容易にすること、また、ピアサポート
及びピアメンタリングを容易にすること 。 |
(b) | 手話の習得及びろう社会の言語的なアイデンティティの促進を容易にすること。 |
(c)
| 盲、ろう及び盲ろうの人(特に子ども)の教
育が、その個人にとって最も適当な言語並びにコミュニケーションの様式及び手段で、かつ、学業面の発達及び社
会性の発達を最大にする環境で行われることを確保すること 。 |
4 この権利の実現を確保することを助長するため、締約国は、手話又は点字に通じた教員(障害のある教員を含む。)
を雇用するための並びに教育のすべての段階における教育に従事する専門家及び職員に対する研修を行うための適
当な措置をとる。
その研修には、障害への認識を組み入れ、かつ、適当なコミュニケーションの補助的及び代替的な様式、手段及
び形態の使用並びに障害のある人を支援するための教育技法及び教材の使用を組み入れなければならない 。
5 締約国は、障害のある人が、差別なしにかつ他の者との平等を基礎として、一般の高等教育、職業研修、成人教
育及び生涯学習にアクセスすることができることを確保する。
このため、締約国は、合理的配慮が障害のある人に提供されることを確保する 。
川島聡・長瀬修仮訳(2006年4月4日付)
障害保健福祉研究情報システムのホームページ
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