”障害のある子にとっての高校進学を考える”

《第7回障害児の高校進学を実現する全国交流集会》


平成18年10月7〜8日に、佐賀市大和町の龍登園で開かれた全国交流集会に参加しました。
交流集会には、全国各地から、約200名の方が参加されており、わざわざ九州の果てまでやってく る人たちだけのことはあって、すごい熱気と意気込みを感じました。
今回はその内容を一部紹介します。

10月7日は、全体会からスタート。
会場は、障害のある子の保護者と教職員組合との共催とあって、いつもとは違う雰囲気でした。 初めに、神奈川県や大阪府で取り組んでこられた方から発表がありました。
これらの地域では、障害のある子ども達の高校進学について長い歴史があり、話される内容も 九州では考えられないくらい進んだものになりました。

例えば、高校の募集定員が満たない場合において不合格者を出さないようにする取り組みが当 たり前のようにあったり、募集定員をオーバーしていても、推薦制度や特別枠として障害児の 入学を認める制度などによって、高校進学を実現している取り組みなどが紹介されました。

続いて、東京都の小児科医の山田さんの特別報告ということで、東京都における20年にわた る高校進学に向けての戦いの歴史と普通の学校に行くことの意義みたいなもの紹介されました。

障害のある子の高校進学については、
東京都では、都教委との協議の中で、試験の点数に”1〜2割のげたを履かせてくれる”制度 があったこと
内申書の評点を平均点並に上げるような扱いがあったことなどを紹介されました。

また、普通の学校に行くことの意義については、
ある本によれば、白人の子が黒人の子を差別するようになるのは、大体9歳くらいからだとい うこと。一緒にいるとなぜ違うのかを聞いたり感じたりすることができる。一緒にいないと大人 になっても聞けないままになる。

障害児の進路は幼少時期におおよそ決まってしまう。通園施設に入ると、小学校から特殊学級 や養護学校に入り、同じ環境の中で中学校から高等部に行くことになる。卒業後はそのまま作業 所に行ったり、施設に入ることになる。だから、そうじゃなくて、周りの子と同じようにすれば、 ずっと同じにいられると考える方がよい。

障害のある子の親は闘わなければならない。そうした親の闘いだけが制度を変えることができ た。というような幾つかの発言が印象的でした。

夕方からは、参加人たちの交流会がありました。
愛知や大阪など何人かの人たちと話をしましたが、子ども達が高校を卒業した後になっても、こ の交流集会に参加し続けている人が多いなと感じました。
そして、そうした人たちの体験談を聞いていると、どんどん背中を押されるような気になります。

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10月8日は、3つの分科会に分かれての研究会になりました。
第一分科会では、さんさんCLUBの堤幹子さんも発表者として登場されたので、その分科会に参加し ました。
堤さんの子どもさんは、現在、武雄市立川登中学校の2年生。これまで普通学級の中で他の子ども 達と歩んできた道を振り返り、これから高校への進学に向けて、どんな取り組みをしていけばいい のかを探していきたいとのことでした。

他に、香川県の参加者からの発表があり、10年間高校進学に挑み続けた人や、2回目の挑戦で入学 を果たした人たちの体験談や高校進学に対する思いなどのお話がありました。

会場からは、時間の経つのも忘れたかのように続々と意見が出てきました。
その中でも、これからの人への具体的な助言として、
高校に行きたいという気持ちを前面に出して、それを学校に伝えていくことが大事だということ。 まず、身近な中学校の担任をまず取り込んでいくということ。中学校の校長や他の生徒達に広げる ことも大切なこと。内申書が中学校で作成されることからも分かること
というような意見は参考になるなと思いました。

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会場で様々な意見を聞きながら、高校への進学に向けて次のように整理されると思いました。

○募集定員に入学希望者が不足している場合
この場合は、定員内不合格者を出さないことを求めることになりますが、入学者の決定は、基本的 には学校長に委ねられているので、まずは学校長をターゲットにしていくことになるようです。
その際には、上記にあるように、まずは、中学校を通して働きかけていくのが大切なのかもしれません。

○入学希望者が募集定員をオーバーしている場合
この場合、他の健常者との競争になりますが、元々、点の取れない子を入学させようというのだか ら、とても勝てるとは思えません。
それでも何とかしようとすれば、制度的な枠組みを作ってくれと言うのが近道のようです。

以前の東京都のように点数を加算するとか、大阪府のように特別枠を設けるとか、様々な考え方が あるのではないかと思います。
制度を設けるとなると、ターゲットは県教育委員会の学校教育課ということになりますが、その課 の高校教育ラインの教師たちは、実を言うと、障害児教育のことを(養護学校のことも含めて)全 く理解していませんし、考える能力もありません。

こんな人たちを説得していても、次の異動でいなくなります。彼らは真面目に考えようとはしませ ん。それよりも、早めに一定の判断を期待するのであれば、現代社会の利点でもあるITを活用して、 県や県教委のTOPに働き掛けていくというのも一つの方法なのかもしれません。

最後に、大会を通じて、長い歴史のある都府県のことがうらやましく思うこともありましたが、例 えば、大阪でも地域によって大きな差があることが分かりました。結局の所、どこの場所にいても、 そこに行きたいという気持ちを発信し、行動しない限り、道が開けることはないんだと教えられまし た。

来年は、10月20〜21日に愛媛県で、”障害児を普通学級へ、全国連絡会”が開かれます。そうした 場所に出かけて自分自身を試していくことで、前に進んでいく気持ちも湧いてくるような気がします。

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障害児を普通学級へ、全国連絡会のホームページへ。