全障害児教育法
(Education for All Handicapped Chil-dren Act of 1975)

アメリカにおける公民権運動の流れの中で徐々に認められてきた障害児の教育への権利を包括的に規定したもので、1977年 のリハビリテーション法施行規則の発効とともに同年10月から実施に移された連邦政府が定めた法律です。

全米で800万人の障害児が公教育を受ける権利が保障され、「分離すれども平等」という考え方に支えられた分離教育が、 違法であるとされました。「障害児の権利章典」とも言われるもので、すべての障害児の独自のニーズを満たすための教育や関 連サービスを保障するだけでなく、障害児とその保護者の権利を保障することを目的としています。
適切な最大限の範囲において障害を持たない子どもとともに教育を受けること、その子にあった教育措置や教育プログラム を決定する場合には、本人や保護者の意見を予め聞いたり、決定後の異議申立てを認めたりするなど措置を盛り込んでいる 点が重要です。

1973年のリハビリテーション法第504条が公的機関における障害者差別を包括的に禁止したものであるのに対し、全障害児教 育法は障害児教育サービスの中身とその保障手続きを定めたものです。
法では、「3歳から21歳のすべての児童が、無料かつ適切な公教育を受ける権利を有している」と明記しています。また、 障害児が「最も制約の少ない環境」で教育を受けるようにする事を公立の学校に義務づけています。
この法律により、今までは隔離された状況でしか教育を受けたことのない知的障害児や、エイズなどの病気で入学を全く拒 否されたてきた子どもすべてに、統合教育が原則となりました。