就学相談〜就学前健康診断編
平成14年6月13日 5歳4月(入学まで9か月)
 県主催の巡回就学相談には行きませんでした。今後、学校から勧められても、全く行く気持ちはありません。  養護学校に行く気がないのに、相談に行くのは全くの無駄であるだけでなく、いろいろと横槍が入るだけのことと思っています。

 ところで、第2回目の就学相談が養護学校などで行われているようですが、普通学級や障害児学級、通級指導を希望する場合の相 談の場は設けられていません。市町村の所管なので、県はタッチできない(しない)ということなのでしょうが、少し身勝手な気が します。
 養護学校に行かない子ども達は、どうすればいいのでしょうか。
 市町村教委や学校が、個々に呼び出して話しをするということなのでしょうか。
 こうした曖昧な状態で、入学まで待たないと行けないのでしょうか。
 就学相談という名前を用いながら、こうした子ども達の相談には乗らない。
 県と市町村で集めた資料は、説得の材料に使うだけで、保護者には提供しない。
 少なくとも相談という名前を使うならば、その場所で、子供を観察し・行動を記録し・市町村にだけ通知するようなことは止めて 欲しいと思います。

平成14年7月10日 5歳6月(入学まで8か月)


 夏休み前に相談に行こうということになって、7月10日に両親揃って小学校に行って来ました。
 応対されたのは、校長先生と教頭先生の2人。(校長先生は4月に赴任したばかりです。)

・ 父から簡単に娘の状態を説明し、どの学級を希望するとかは言わないことにしていました。
・ 就学指導委員会のことを聞かれたので、相談する意思はない旨、答えました。
・ 学校側から、障害児学級のことを紹介されたが、学級のことは理解している旨答えました。
・ また、障害児学級の子ども達が、授業のほとんどを親学級で過ごしていること。
・ 逆に親学級に在席して、授業の一部を障害児学級で過ごすことはできないと話がありました。
・ 父から、障害児学級から通常学級への転級は容易でも、その反対への移動は不可能なこと、
・ 通常学級の子ども達は、障害児学級の子を、自分と違う異質な存在として見ていること、
・ 貴重な12年間を障害の子だけの世界で過ごすことに抵抗があること、などを話しました。
・ 来年は40人近い学級かもしれないとの話には、その場合はT・Tが配置される、と答えました。
・ 校長から、保育園に娘を見に行って良いかと聞かれたので、了承しました。

 第1回目の学校相談は以上のとおりです。校長先生も教頭先生も少し困ったような顔をされていたことや、保育園で娘を見 て説得理由を考えられると思われるので、これからが本番という感想です。
(ただ、まだ我が家の中でも、娘の就学先を決めているわけではありません。)

 なお、これまでの父母の勉強の経緯を簡単に紹介します。
・ 平成13年 12月〜3月  父の勉強期間(主に長崎県の進路保障の会の本やCLUB収蔵の本)
・ 平成14年 4月〜6月  母の勉強期間(主に図書館から借りた障害児の就学に関する本)
・ 進路保障の会への参加  父2回、母1回(6月)
・ 就学に備えて、父はPTAの父親委員を引き受けたこと

 また、学校のおかれている環境としては、次のようなことがあげられます。
・ 他校に比べて人権・同和教育に力を入れていること
・ 障害児学級は、主に学習障害の子が6人いて、教員1名と介助員1名が担当していること
・ その6人も、ダウン症の娘より知識レベルは高いと思われること
 このため、娘の知識レベルと比較しながら、「こんな子でも、障害児学級にいるんですよ。」といった論調になると予想し ています。でも、こんな子ども達は親学級で多くの時間を過ごせても、手の掛かる我が子は、親学級で過ごす時間が減るとい うことも考えられます。
 そして、将来にわたって親学級で過ごす時間を確保するということを、誰も保障はできないと思います。

平成14年7月22日 5歳6月(入学まで8か月)


 7月22日に、校長先生が保育園を訪問されたとのことで、保育園から連絡がありました。

平成14年7月31日 5歳6月(入学まで8か月)


 母親は、Maiiが身辺自立もしていない現状を考えると、”通常学級は無理では”という意識があります。母親が、いつまで も付き添いは出来ないというのが、その根底にあります。
 付き添いの出来ない父親としては、無理も言えず、少し悩んでしまいます。
 学校に介助の要望をしようとかいう意見もありますが、それでは教室の中で、Maiiだけが特別な扱 いを受けることになり、他の子とは別の存在になるという危惧が大きくなります。
 これから6か月間でどの程度成長するか分からないけど、進路はその段階で決める方が得策だと感じています。1月末まで、 Maiiの進路は決めないことにしようと思います。

平成14年8月24日 5歳7月(入学まで7か月)


 進路保障の会に出席。その中で、中学校への就学についての話が出てきました。
 小学校を障害児学級で過ごした子供に対して、中学校には障害児学級がなかったり、障害児学級で過ごすことが難しい(いじ めや教室移動が難しい、交流がない)ことを理由に、地元の中学校に就学できない状態に置かれているようです。
 私たち自身も、「中学校では通常学級への就学は無理だろう」という潜在意識はありますが(正しい 考えかどうかは別にして)、小学校で障害児学級を選択した時点で、どんどん選択の幅が狭められていくような気がします。
 MariちゃんやAyakaちゃん、Genkiくんなども、中学校では養護学校なども視野に入れておられるようですが、その理由は、中学 校は危ない所、障害児に対応できない所という考えにあります。
中学校には何を求めるか、これからはそんなことも議論になりそうです。

平成14年9月20日 5歳8月(入学まで6か月)


 不況対策の一環として緊急雇用対策事業というのがあり、半年から1年間の雇用を行った場合に、その費用が国から県や市町 村に全額交付されています。
 障害児学級の介助員などを雇用している市町村も幾らかあるようです。ただ、市町村にやる気がないのか、あえて行わないの か、普通学級に就学する生徒への介助対策には活用されていないようです。
 介助があることによって、教室の中で障害を持つ子どもが分離されるとか、担任の教員がまかせっき りにするという弊害も指摘されていますが、それがあれば随分前向き考えていこうとする保護者も増えるような気がします。

平成14年9月25日 5歳8月(入学まで6か月)


 娘の就学について、我が家では、深い悩みに落ち込んでいます。
 学校での相談以後、学校からは何の話もあっていないので、自由に考えることが出来ますが、その分よけいに親の責任という ものも考えすぎています。
 娘にとって本当にどんな教育が良いのか、親は何を選択すればよいのかを考えています。
 普通学級での多くの友だちなのか、そこで育まれる社会性なのか
 それとも、ゆっくりとした教育の行える障害児教育なのか
 どれもが娘には、必要なもののような気がしています。障害児学級に固執する学校の考え方は許せないけれども、普通学級だけ に希望があると考えてしまっている私はどうなんだろうと思います。
 今日は、少し弱気になっています。

平成14年10月10日 5歳8月(入学まで6か月)


 Maiiの就学に向けて、父の役割というのを思案中です。
 自分自身が娘を一人の人間として見ていくためには、可能な範囲で、娘にも他の子と同じ様に歩んでほしいと思います。そのため には、父親も仕事を理由にして、その役割を避けて通れないような気がします。
 M氏から、学校からの呼び出しとかは、教員の人事が始まる12月頃から行われると聞いたので、少し安心しました。このまま何 の話し合いもなく、入学式を迎えても、それはそれで困るなと思っていました。

《我が家のMaiiのいま》
・ 字は読めません、書けません。”まい”という字は書けますが、意味は分かっていません。
・ パンツとズボンは履けますが、服のボタンは留められません。
・ お漏らしは直りません。出る(排尿)という感覚が、よく分からないのか、腹筋が弱いようです。
・ 同年輩の子は大好きです。公園でも、他の子の所に行って遊ぼうとする気持ちが強いようです。
・ 家の場所は、最近、少しだけ分かってきたようです。
・ 争いごとはとても苦手で、喧嘩を見ると逃げます。(よく泣きます。)
・ 体の大きさは、健常児の3〜4歳程度です。

 これを読んでいただいている方のために、自分の子と比較できるように参考までに書きましたが、障害の程度で、就学先を分けて も良いという意味ではありません。誤解のないようにお願いします。

平成14年10月30日 5歳9月(入学まで5か月)


 就学前健康診断の案内が来ました。他の兄弟が受けたときは何も感じなかったこのことが、Maiiのときには身構えなければならない ことが、少し腹立たしく感じます。
 でも、取りあえず出かけて、どんなことが行われるのか見てきたいと思います。

平成14年11月12日 5歳9月(入学まで4か月)


 就学前健康診断に両親揃って行ってきました。会場は、小学校の特別教室。たくさんの子供たち(これで入学者全員かと思うと少 ない気もするが)の中で、Maiiはマイペース。
 視力検査は、練習した穴あきのものと違っていたために計測不能でした。
 聴力検査は、養護の先生の配慮でなんとか出来ました。
 歯科と内科検診は、当然のように問題なし。
 最後に、問題の知能検査に移りました。
 ・ 絵に書かれたものの名前を言う : 自転車(×)、すいか(○)、飛行機(×)
 ・ おはじきの数を数える : 最初は何も言えず、リズムを付けると言える。
 ・ 会話 誰と来たの? : お父さんと・・、おとうさん。(娘はお母さんという言葉が出ません。)
       いまいくつ? : 両手を出して広げてしまいました。
 少し練習はしていたそうですが、萎縮もせず、よくできたと思います。

 知能検査の終了後に、検査を行っていた先生から、
「学校としても娘の入学に備えるために資料がいるので、専門機関で検査したものがあれば出してほしい。」と言われたが、市の就 学指導委員会に提出するためと思われたので、
「来年1月31日以後、入学通知が届いたら、資料は提供してもよい。」と伝えました。

 今回、就学前健康診断を受けて、次のような疑問が生じました。
 それは検査の種類が、単に障害児を選び出すものに限られているということです。
 視力検査は盲人、聴力検査はろうあ者、内科健診は心臓病や喘息などの疾病、知能検査は知的障害。それらを探し出して、うまく いけば、入学前に排除しようというものにすぎません。
 通常、健康診断で必ず行われる身長や体重の測定もなく、公衆衛生上、必要な伝染病の検査もありませんでした。健康診断として の価値が、全く損なわれていることが分かっただけでも行った甲斐がありました。

 同じ保育園に通う女の子で、幾つかの学校の中から学校を選べる地区に住んでいる子が、
「MaiiちゃんがN小学校に行くから、私もN小学校に行って助けてあげる。」
 と言ってくれています。健康診断にも来ていました。とてもとても嬉しく思います。

平成14年11月15日 5歳10月(入学まで4か月)


 さあ、これからがMaiiの就学問題の本番です。
 健康診断での知能検査の結果も、市の就学指導委員会(12月上旬に開催)に送られるはずなので、学校からは、その結果の出る12月 中頃に”呼び出し”があると予想しています。
 来年度、障害児学級がどうなるのか。これまでと同じように平穏なままなのか。障害児学級の怖さは、1つの部屋に様々な障害の 子が集められるということがあります。6年間、同じ状態で続くことは保証されていません。そうした点についても、学校としてど のように考えているのか聞いていきたいと思います。



就学相談〜就学前健康診断編 終了



就学相談について (入学後に考えたこと)
ほとんどの人が就学相談を受ける(受けさせられる)中で、私は、相談を受けないという選択肢があり、その体験をしておくこ とも必要だという思いがありました。
でも、就学相談を受けた方が良いのか、受ける必要がないのか、未だに判断に迷うところがあります。
就学相談を受けると、就学前に市町村の教育委員会から横槍が入る可能性が高くなります。
ただ、両親にしっかりとした信念があれば、議論を戦わすことがあっても良いと思います。
相談を受けずに学校と直接話を進めると、介助などが必要な場合に話が難しくなるかもしれません。
このため、介助が不可欠な場合は、正面からぶつかっていく方法が良い場合もあります。
ただ、介助が付くかどうかは、学校の御都合や市町村教育委員会の姿勢が先に来ます。
”難しい子が入学する、親は付き添わない。”ということが明確になると、混乱をおそれる学校は、教育委員会に懸命に働きか けて、介助員を付けるよう努力するようです。
この場合に、柔軟に対応してくれる市町村教委もあれば、全く対応しようとしない市町村教委もあります。
S市は、どちらかというと後者に属していると思っています。
ダウン症の子供の場合は、介助が付く可能性は非常に低いと思います。
それは、彼らが、非常に幼いながらも、幼いながらの社会性を身に付けているからです。
そして、学校でも、その社会性を成長させて欲しいと思うとき、介助者がいることが邪魔な場合もあります。
保護者の皆さんには、こうしたことを一つ一つ考えながら、就学相談を受けるかどうか判断してほしいと思います。