療育施設から幼稚園、保育園へ

年少さんの頃は、障害児の療育施設「県立くすのみ園」に1年間通っていましたが、周囲に健常児 がいないことから、同年齢の子供たちからの刺激が少ないことが難点でした。
当時の先生方は、とても熱心に日常生活の指導をしていただきましたが、それだけはどうにも解決 できないことがあると感じました。
(娘の場合は、他の障害の子のまねをしていたことが気になりました。)

そのため、1年後の春に幼稚園への就園を目指すことにしましたが、食事や用便などの日常生活指 導や音楽に合わせてのダンス訓練などは、この施設が一番充実していたような気がします。
集団生活になれるためにも、できれば就園前にこうした施設に通わせた方がよいでしょう。

上の兄2人は近くのT幼稚園に通い、その園は障害児にも理解があるということだったので、入園 予定の1年ほど前から娘のことでも園長とも話をしながら、土曜日や運動会などにも連れて行き、 娘が慣れるようにしていました。

前年12月


12月になって、園長から「幼稚園に障害の子が増えたので手が回らない、他の幼稚園も探してほ しい。」と言われ、母親は落胆しながら、残り少ない期間に他の幼稚園を探すことになりました。
S市立の保育所には、申込期限が過ぎているという理由で断られました。
2月

2月になって、T園の園長が入園申込書を持ってこられましたが、それまで寄せていた信頼を裏切ら れた思いや、我が家だけは母親の付き添いという内容だったこと、T幼稚園は障害の子が数人いて障 害児学級のようにならないかとの心配もあって、他の幼稚園を探すことになりました。
3月

幸いに、2番目に近いH幼稚園で受け入れてもよいという返事をいただいたので、週1回程度通園し、 園にも慣れるようにしていきました。保母の方にも、自分たちも「障害を持つ子のこと」を勉強して いきたいと言っていただいたので安心していました。
年中の頃、幼稚園へ

4月から幼稚園に通いはじめましたが、保母さんが全員入れ替わっていたことに驚きました。
また、園児の他に、お預かりの子という幼児が数人いたことにも戸惑いました。
幼稚園か保育園か分からないような経営が、少しづつ不安を大きくしていきました。
5月

新しい保母さんたちは慣れていないこともあって、健常児(特に数名の幼児)の対応で精一杯の状態 で、障害を持つ娘に配慮する余裕はなかったようです。
教室を抜け出て一人で遊んでいる娘を見かけても、そのまま遊ばせているような状態で、迎えに行く と直ぐに帰りたがったことから、娘にとってもよくない状態だと思うようになりました。
わずかに開いていた門から外に出て、かなり遠くまで歩いていたこともあったようです。

無認可の保育園に転園


近くに住む幼児教育の先生から、市の北部にある無認可のR保育園を推薦していただき、両親で保育 園の見に行ったりしましたが、伸び伸びした雰囲気と保母さんの取り組み姿勢(これが一番大切)に も好感が持てたことから、少し悩みながらも、入園からわずか3か月で転園することになりました。
7月

保育園では1歳年下の年少クラスに入りました。(親と園で相談して決めました。)
娘はのびのびと泥だらけになりながら、遊んでいます。
言ってることは良く分からないのだけれども、よく娘から話しかけてきます。
話すことが楽しそうでした。
そうした積極さは親から教えられるものではなく、同じ年頃の友達から学んで(まねて)いくものだと 思うし、娘は今の環境が気に入っているのだと感じています。
10月

園では、障害を持つ娘に気を配りながらも、特別な扱いはされていないようで、それが娘にとっては 良かったようです。
全く配慮がないのも困りますが、あまりに手を掛けるような扱いをすると、自分で動こうとする姿勢 がなくなるような気もします。
適度な配慮というのは、とても難しいことですが、園の中で過ごす内に分かってくるもののような気 もしますので、ある程度は園のリズム・子ども達のリズムにまかせることが必要と思います。
10月〜2月

下の兄が交通事故で入院したため、娘は、上の兄と一緒に祖父母の家に預かってもらい、土曜日曜日 に両親と過ごすという変則な生活になってしまいました。
そのため、なかなか学習も出来なくなり、大事な時期を逸してしまったようです。
運動会も、父とふたりっきりの参加になり、甘えることを忘れて伸び伸びしていました。
その分、母と会った日は、甘えっぱなしの状態になっていました。
2月

我が家では、来年春の就学を見越して、4月から年長さんのクラスに移すか、年少さんから繰り上が った年中さんのクラスのままでいるか、選択を迫られています。
娘の幼さから考えれば年中さんの方が良いのですが、就学に向けた心構えを少しでも身に付けるには、 年長さんの方が良いのかなとも思います。
3月

園と相談した結果、4月からは年長さんのクラスに移ることになりました。
母親は、20人のクラスになることに少し不安があるようですが、年長さんともなると、娘のことを 手伝うくらいの子もいるのではと期待しています。

年長の頃


年長さんのクラスでは、服の着替えなどを手伝ってもらっているようです。
クラスの一員として扱ってもらうことが有り難い反面、なるべく自分でさせたいと思う気持ちもあり、複雑な気分です。
でも、この1年間の内面的な成長は目を見張るものがあり、これまでとは少し違った環境で過ごすこ とも大事なことと思いました。
5月

さて、年長さんのクラスになって、例えば、紙芝居や読書などについていけないせいか、だまって 聞くことができないようです。
そのため、幼稚園に送っていった母親から離れようとしないことがあるとのこと。年長クラスに移 って良かったのか、もう少し手をかけてもらった方が良いのか、少し悩んでしまいます。
7月

もうすぐ夏休み、といいたいのですが、保育園に夏休みはありません。
この短い期間であっても、他の子ども達と一緒の時間を過ごすのは貴重なので、とてもありがたいことだと思います。
(親の方も余裕が持てるという意味もあります。)
8月

就学を考えると、用便などの身辺自立の出来ないところ、机でじっとできるかどうか、不安を感じ ています。
自由な雰囲気の中でも、やはり最低限の自立や規律が必要だと思います。
保育園と話し合って、そうしたリズムを作っていただくようお願いする必要を感じ始めています。
10月

保育園のバザーの日。娘は他の子と同じように、勝手気ままに動き回っていました。
年長の子が、時折、「maimai」と声をかけてくれていました。
保育園の運動会の日。娘は、熱を出して休んでしまいました。
昨年は、下の兄が交通事故で入院中であったため、父親だけが参加したのですが、母親は、一度も参加できなかったと嘆いています。
2月

風邪や家庭での行事なども重なって、今年度は、保育園の行事にあまり参加できませんでした。
親としては、少し寂しく感じています。
卒園式は大丈夫?と保育園の先生にも言われてしまいました。
卒園式には、万難を排して出席しようと思います。
3月

無事に卒園式にも出席し、娘も立派に自分の役割を果たすことが出来ました。
証書の授与では、ひとりで園長さんの前に立ち、授与後はマイクで、「おとうさん、おかあさん、 ありがと」と多少曖昧な言葉で話しかけてくれました。
ちょっとだけ感動してしまいました。
卒園式の後、保育園が行っている学童保育についてもお願いし、夏休み期間中は、お世話になる ことになりました。夏休みの40日間も、娘にとっては貴重な時間です。
それを家族だけを相手に過ごすのは、とても残念に思っていたので、有り難いことと思っています。 こうしたところが、民間の保育園の良いところかなと思いました。

卒園後のこと


小学校高学年になっても、夏休みや春休みは保育園の学童保育にお世話になっています。
無認可の保育園だったこともあって、利用者の常態に応じた柔軟な経営が行われており、友達と 遊ぶ機会の少ない娘にとっては、とても有意義な時間になっています。
人と人との巡り合わせによって、娘が成長していることに感謝しています。