障害のある人達の働く場
一般企業等
障害者の雇用の促進等に関する法律では、障害者雇用率制度を設けて、企業等に障害のある人の雇用の場の確保を求めています。
この制度では、一定規模以上(常時雇用56人以上)の企業等は、雇用している労働者に占める身体及び知的障害者の割合が、官公
庁で2.1%、民間企業で1.8%以上にしなければならないとしています。
こうした制度はあるものの、障害種別に雇用率が定められていないので、例えば、官公庁では、知的な障害のある人が雇用され
ている例はほとんどないのが現状です。
また、知的障害のある人を雇用する場合でも、出来るだけ軽度の人を雇用する傾向もあり、雇用率を達成すればよいとする現行
制度は、現状を打開するものになっていません。
企業自身の取り組みとして、障害のある人の雇用を積極的に行っているところもありますが、障害のある人の雇用はこうした数
少ない企業に支えられているのが現状です。
福祉工場
福祉工場は、障害のある人で、作業能力はあるものの一般企業に雇用されることが困難か、就業できない人達が利用する通勤型
の職場です。
福祉の授産施設と異なるのは、最低賃金などの労働関係法規の適用を受ける事業所であることから、障害のある人も施設利用者
としてではなく、雇用契約を結んだ従業員として働くことになります。
このため福祉的雇用の側面はあるものの、一定の作業能力が要求されます。
佐賀県内にも数カ所の福祉工場があり、ダウン症の人も働いていますが、ある程度の理解力と体力が必要とされているようです。
授産施設
授産施設は、障害のある人で、ある程度の作業能力がありながら、障害のために雇用されることが困難か、就業できない人達が
自立して生活できるように、必要な職業訓練を行い、社会復帰の促進を図ることを目的としています。
福祉工場と異なり、労働関係法規の適用を受けない福祉施設であることから、賃金も月1万円〜3万円程度であり、かつ施設使
用料を支払わなければなりません。
こうした困難さはあるものの、佐賀県内には10数カ所の授産施設があり、多くの仲間が働いています。
小規模作業所
小規模作業所は、企業等で働くことが困難な障害のある人の働く場や活動の場として、障害のある人や保護者、ボランティアの
人達などの共同事業として、地域の中で生まれ運営されているもので、様々な作業や製品の製作に取り組んでいます。
小規模授産所や福祉作業所などとも呼ばれています。
なお、作業所が障害者自立支援法に基づく支援費の助成を受けている場合、利用者は施設利用料を支払う必要があります。
障害のある人の雇用を、我が国では福祉政策として捉える傾向がありますが、本来は雇用・労働政策として捉えられるものです。
障害のある人の雇用を、企業の社会的責務としてみんなが認識しない限り、障害のある人の雇用は進んでいきません。
障害を持つ人たちの就業って何?
様々な働く場所がありますが、障害のある人たち(特に知的障害者)の就業が、小規模作業所や授産所などに限られているのはなぜでしょう。
営利や競争中心の発想しかできないときは、あまり大きな疑問には感じませんでした。
でも、一人の人間として彼らも働くべきだし、働ける環境が整っていることが必要だと思うようになりました。
そう考えると、今の社会も、企業の考え方も、市民の意識もあまりに希薄です。
障害者権利条約では、障害のある人への合理的な配慮が謳われています。
社会の制度、企業の責任、地域の取り組みや親の関わり方など、これからも考えていきたいと思います。
障害を持つ子供たちが働いている佐賀県内の授産施設や福祉作業所などを紹介します。
施設見学などを通じて、この問題を考える際の参考にしていただきたいと思います。
社会福祉法人が設置、運営する知的障害者の授産施設
知的障害者福祉工場
作業能力はあるものの、一般企業への就労が難しい知的障害のある人を雇用し、社会的な自立を促進する施設です。
福祉工場 エフピコ 神埼市吉野ヶ里町石動 (0952-55-7728)
山王福祉工場 佐賀市大和町久留間 (0952-62-8981)
地元の親の会などが設置、運営する障害者小規模作業所
障害者自立支援法の支援費を受けるために、社会福祉法人化して運営される施設が増えていますが、
支援費を受けた場合、利用者は利用料を負担する必要があり、働くために利用料を支払うという矛
盾が生じています。
授産施設や福祉作業所などは、ここに書かれているのが全てではありません。
年々数が増えたり変わってきていますので、必要な場合は県のホームページなどで確認するようにしてください。
JDSN FORAM 福岡協賛 ”ワークショップ佐賀”の記録(社会人として生きること)