障害のある人達の暮らしの場
自宅(親や兄弟との同居)で暮らす
自宅で暮らしていくためには、親が長生きであったり、兄弟姉妹やその家族の理解があることが
重要な要素になります。
また、同居に限らず、ひとりで自宅で暮らしながら、近くに住む家族に日常生活や金銭管理など
の支援を受けながら生活する場合もあります。
自宅(共同)で暮らすことで、高額な住居費を節約できるという利点があります。
グループホーム
障害のある人たちが、地域にある建物に集まって暮らすグループホームが増えてきました。
グループホームが増えた背景には、保護者の方たちが、自分たちよりも長生きするであろう子ど
も達の自立した生活の場として期待しているところにあります。
障害のある人が自分の部屋で暮らし、管理人や生活支援員の支援を受けながら、自分で出来る範
囲で食事や風呂、洗濯などをすることになります。
授産施設や作業所などと併設しているところでは、平日は仕事に出かけることもできます。
なお、グループホームでは、住居費と施設使用料、食費等が必要になります。
アパートで暮らす
障害のある人が、地域にある普通のアパートで暮らすというのは理想的な姿です。
自分たちだけで暮らすためには、解決すべき課題も多くなります。食事や風呂、洗濯、掃除など
の日常活動から、金銭管理や健康管理、異性問題など、複雑な問題があります。
問題が多いから諦めるというのではなく、子ども自身の能力を生かしながら、生活のどの部分を
支援すれば、障害のある人も普通の生活が出来るのか。
そのためには、どんな福祉サービスを活用すればいいのか。
そんな風に前向きに考えていく時代になっています。
福祉施設
これまでは福祉施設の中で生活するダウン症の人たちが数多くいましたが、平成18年4月に障害
者自立支援法が施行され、福祉施設での入所支援を利用できるのは、障害の程度が重度の方に限
られることになりました。
特に、障害者自立支援法に基づく障害程度区分が、介護制度の基準を参考にして作成されたため、
身体的な障害に重点がおかれており、知的な障害のみの場合は、障害程度区分が軽くなる傾向が
あると言われています。
また、施設利用料や食費、光熱水費などの自己負担額が増えたことや、福祉施設での生活に将来
的な見通しがたたないことなどから、施設を退所して自宅やグループホームに転居するという方
が増えています。
これからは、自宅やグループホーム、アパートなどを生活の拠点にしながら、企業や授産所、通
所作業所で働き、更に家庭では、ショートステイ、デイサービス、ホームヘルプなどの福祉サー
ビス、成人後見人制度などを組み合わせながら、地域で暮らしていく姿が見られることを期待し
ています。
障害のある人達の余暇の場
障害のあるなしに関わらず、豊かな日常生活のためには余暇の場があることは重要です。
成人期を迎えても親や兄弟ばかりと過ごすことは、本人にとって一定の満足は得られるとしても、
必ずしも幸せなことではありません。
人間関係や生活のリズムが固定化し、新しい刺激を感じることも少なくなります。
余暇の場を確保することは、障害のある人達にとって最も切実な課題となっています。
遊びの場
健常者と比べて、同じ様な障害のある人は相対的に少ないため、障害のある人達が自由に楽しむ
ことができる場所が限られています。
健常者と同じ様に、買い物や映画などに出かける場合でも、保護者が付き添っている場面に出く
わすことが多々ありますが、そうした場所が遠方にあるだけで、障害のある人達は移動に関する
ことだけでも大きな制約を受けていることになります。
これからの福祉サービスの充実の中で、移動介助などの支援が図られていくと思いますが、身近
なところで活動できる場や環境づくりをしていく必要があります。
集いの場
常に健常者ばかりの世界で過ごしていると、健常者の活動のスピードを早く感じて、障害のある
人にとってストレスになる場合があります。
時には、同じような障害のある人達と交流することで、自分なりの生活のリズムを取り戻すこと
も大切な気がします。
親の会やグループで交流する機会を持ち続け、集いの場を設けたり、様々な情報を得ることで、
活動の場を広げることも大切なことと思います。
趣味としての学習の場
ダウン症の子ども達の中には、学習や趣味の場として、学習塾やスイミング、ピアノ教室、ダン
ス、書道教室や乗馬クラブなどに通っている子が多くいます。
子どもの時は、体力の増進や学習活動を目的にしているものでも、長く続けることで自分自身が
楽しめる趣味となり、余暇を過ごす場となることがあります。そういう意味では、様々な活動に
参加することで、子どもの活動領域を広げていってほしいものです。
大切なこと
大切なことは、子供達自身が積極的に遊びや学びの場に出かけていくという姿勢を育てることです。
どんな世界ででも気後れせずに参加しようとする意欲、自分なりに楽しめるような、のびのびとし
た人間に育つための環境を与えることです。
そのためには、
子供の頃から様々な場所に出かけ、遊びの場を体感させること。
障害のない人達の中へも気後れせずに飛び込んでいけるような環境で育てること。
子供自身が楽しめるような趣味をつくるために、様々な活動に挑戦すること。
他の子ども達と遊んでいるときは、出来る限り親は干渉せずに自由に遊ばせること。
などに努めていくことが大切だと思います。
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