= 近年30年間に、佐賀県の湿地の約75%にも相当する48の湿原が消滅 =
      これに伴い、重要な湿原植物15種が本県から絶滅していった。
滅びゆく佐賀の植物(1)
   
ミツガシワ    contents
 1.湿原破壊の現況
 2.滅び行く湿原植物
 3.湿原消滅の原因
 湿原保護の重要性

1.湿原破壊の現況 
   佐賀県には、大別して海抜10〜50mの丘陵地帯と700から1000mの山に囲まれた山内(さんない)
 と呼ばれる準平原的な500〜700mの山地に大小65の湿原が存在した。
   しかしながら、最近30年間に、74%にも当たる48カ所の湿原が消滅した。    
これは、1年に1.7カ所の湿原が滅んでいったことになる。

   これに伴い、重要な湿原植物15種ほどが本県から絶滅した。
  表1.佐賀県の湿原の消滅状況
 1965年  1973年  1995年  30年間の消滅湿原数
 湿原数  65 56 17 48
 残存率 100% 86% 26% 74%

2.滅び行く湿原植物
サワトラノオ サワトラノオ
(1981年写)
工場団地

造成により
絶滅危惧
される。
 表2. 佐賀県から絶滅したと考えられる湿原植物
 科   名  種   名  備    考
1 マチン科 ヒメナエ 全国的希産種
2 シソ科 ミズトラノオ 全国的絶滅危惧植物
3 キク科 スイラン 県内希産種
4 アヤメ科 カキツバタ 北系植物,全国的希産種
5 ホシクサ科 ゴマシオホシクサ 南方系植物,全国的希産種
6 カヤツリグサ科  ムギガラガヤツリ 南方系植物,全国的希産種
7 カヤツリグサ科 カガシラ 南方系植物,全国的希産種
8 カヤツリグサ科  ミカワシンジュガヤ  南方系植物,全国的希産種 
 9 カヤツリグサ科 ケシンジュガヤ 南方系植物,全国的希産種
10 カヤツリグサ科 マネキシンジュガヤ 南方系植物,全国的希産種
11 カヤツリグサ科 クロタマガヤツリ 南方系植物,全国的希産種
12 カヤツリグサ科 アズマナルコ 北系植物,全国的希産種
13 カヤツリグサ科 ヤマテキリスゲ 北系植物,全国的希産種
14 カヤツリグサ科 オニスゲ  *-

3. 湿原消滅の原因
 過去30年間に滅んだ48の湿原の原因を調べた結果次のとおりです。
平野沼 上峰湿地埋立
埋立てられた平野沼海抜700m 埋立てられた上峰湿地海抜30m
 no   湿原破壊要因   湿原数   比率
1  工場団地造成 10   20%
2  農地(水田)整備 9 18%
3  埋 め 立 て 7 14%
4  工 場 造 成 7 14%
5  宅 地 造 成 5 10%
6  道 路 工 事 3 6%
7  その他の土木工事 3 6%
8  土 砂 流 入 2 4%
9  植生環境の変化 2 4%
 10  ミカン園造成 1 2%
11  生活環境保全林造成   1 2%
50 100%

4.湿原保護の重要性
湿原は、一般にはじめじめした利用価値のない所として埋め立てられ、ゴミ捨て場となり、
サギソウなど可憐な花が咲く所以外は無用の長物として破壊されているのが現実である。
【重要性・貴重さ】
@湿原内は環境変化の少ない所。湧水によって年間の水温変化が少ない環境にある。    
そのため、寒冷期(1.5万年以前の氷河期)に北方から南下した植物が、温暖化した   
今日も湿原には残存(遺存)している。 例 :ミツガシワ、ヌマクロボスゲなど     

A湿原は空を遮るもののない陽地である。そのため、草原陽地の植物が森林化に追われ  
て湿原で生息している。佐賀平野北麓の丘陵地帯は、寒冷期には、残存分布する朝鮮半  
島・中国東北部の湿原植物などから草原であったと思われる。温暖化とともにシイ・カ  
シ類の常緑広葉樹が繁茂しだしたため、生息場を追われて湿原に馴化して今日に至る。  
気候変化と植物の環境適応を温存している。例:ミヤコアザミ、タムラソウなど。    

B水湿のため人が入り難い特殊地帯のため植生の保存度が高い。また、湿原は数千年、数 
万年前の花粉等の遺体を保存するタイムカプセルである。                

C佐賀県の湿原の花粉分析調査は未だ行われていない。                 


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