膀胱癌(腎盂癌・尿管癌)
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    腎盂癌・尿管癌・膀胱癌とは
 

 尿が腎臓でできて流れる通り道(尿路)から発生する癌です。尿路の移行上皮が腎盂・尿管・膀胱ともに同じなので、同じ種類の癌が発生します。そこで、治療法などもだいたい同じです。

男性に多い疾患で、原因としてはいろいろな因子があるといわれていますが、たばこははっきりと原因のひとつとされています。以前から膀胱癌発生の男女比は10:1ですがこの比は男女の喫煙率の比と同じのようです。最近は若い女性の喫煙が増えていますので、いずれその方々のなかでたくさんの方が膀胱癌になり、泌尿器科においでになるのではないでしょうか。今すぐにでも禁煙をしていただきたいものです。


 膀胱癌の症状
初期

血尿:痛みもなにもないのに尿に血が混じるといういわゆる無症候性血尿。

頻尿(排尿の間隔が短くなること、1回の排尿量が少ないこと。つまり、膀胱に少しでも尿がたまると排尿したくなる。)

夜間頻尿
夜就寝後に何度もトイレに行きたくなること、時には1時間ごとに行く。
中期
上記の症状が頻繁になる
末期
膀胱出血:尿がでなくなり、膀胱内に血液と尿が充満すること。下腹が膨れてとても苦しい。

癌の転移や浸潤による痛み:全身の骨やリンパ節などに転移し、癌性疼痛・貧血を生じます。


 膀胱癌の診断と検査

検尿・尿沈査・尿細胞診:尿中の血液や癌細胞の有無を調べます。

内視鏡検査:膀胱ファイバースコープで観察します。

画像診断として:経静脈性腎盂造影、腹部超音波検査、CT、MRI

膀胱生検と病理組織検査:尿道から膀胱まで内視鏡を挿入し腫瘍のごく一部を採取し、それを顕微鏡で調べるという検査です。この検査は痛みや出血を伴います。そこで、泌尿器科いまりクリニックでは痛くないように麻酔を行って検査をしております。標本採取して、約1週間後に結果 が出ます。この検査によって診断が確定します。

 告知について:泌尿器科いまりクリニックでは患者さんに検査前に希望をお聞きしております。すなわち、事前に患者さん本人が告知を希望され、家族も同意された場合には検査結果 をありのままに報告します。患者さんがあまり本当のことを聞きたくない場合には家族にのみ結果 を報告して、患者さんには報告しませんが、この場合でも適切な治療はどんどん開始しております。


 膀胱癌の大きさや進行具合を調べる検査

画像診断として

経静脈性腎盂造影、腹部超音波検査、膀胱造影、膀胱多重造影、CT、MRI、骨盤内血管(動脈・静脈)造影、

膀胱造影・膀胱多重造影:膀胱の中に細い管を挿入し、そこから造影剤を注入するものです。膀胱の膨れ具合から腫瘍の進行度や腫瘍の大きさなどが判ります。


 膀胱癌の治療

薬物治療(癌化学療法)

膀胱癌の多くが根が浅い(表在性)ので、膀胱内に高濃度の抗ガン剤やBCGワクチンを注入することで、かなりの効果で膀胱癌が消失します。

根が深い(深在性)癌や転移などのある癌には抗ガン剤の全身投与を行います。ある程度の効果があります。

放射線治療
膀胱に体外から照射する方法があります。最初から治療の第一選択となることもあります。

手術

(経尿道的膀胱腫瘍切除)

(膀胱摘出と尿路変更術または代用膀胱)

経尿道的膀胱腫瘍切除:多くの膀胱癌は根が浅い癌(表在性)ですので、内視鏡カメラを尿道から膀胱内に挿入して電気で切除し、止血します。これで根治ができます。膀胱癌は再発が多いのですが、その都度この方法で膀胱癌を切除し治療できます。膀胱癌の再発は膀胱内の別の部位(異所再発)からよく起きます。そこでこの方法がとても有効です。

根治的膀胱全摘出術:上記の方法では根治できないような進行した膀胱癌では、膀胱・前立腺を一度に摘出し、さらに骨盤内リンパ節摘出(廓清)術を行います。膀胱がなくなるので代わりの排出路か代用膀胱を作ります。代わりの排出路を作ることはおなかの皮膚に穴をあけてそこに腸管を縫いつけて尿を出すことです。この方法はやはり誰でもいやがる方法ですので、なるべく膀胱全摘出術をしないようにがんばります。そのために経尿道的膀胱腫瘍切除をできるように抗ガン剤や放射線治療で膀胱癌を小さくしてから手術したり、膀胱を一部のみ切除するという部分切除術が盛んに行われています。

 

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