緩和ケア
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緩和ケアとは、少し意味が違いますが別名で、ターミナルケアあるいは終末期医療またはホスピスケアとも言われます。
すなわち、患者と家族の苦痛を緩和し、患者の生活の質(QOL)の向上を目指して行われる様々のケア(医療・看護・お世話)のことです。
緩和ケアの目標
ー癌末期における医療と看護ー |
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・痛みや不快な症状の緩和に努力する |
緩和ケアの開始時期 |
癌初診時から治療と同時に、緩和ケアを心がけて必要であれば開始します。
特に癌末期で、これ以上の積極的な治療が期待できないことが明らかになった時や、家族・本人が希望したときから、治療が緩和ケア主体となります。
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緩和ケアの対処症状 |
疼痛・精神的苦痛・うつ症状(本人と家族) |
癌に対する疼痛緩和ケア
原則は常時無痛、 基本は麻薬と補助療法、痛みが取れるなら何でも利用する |
補助療法として
消炎鎮痛剤(ボルタレン・ロキソニン・アスピリンなど) 麻薬類似薬(ペンタジン・レペタン) その他 抗てんかん薬、抗鬱薬、抗不整脈、ステロイド、静脈性麻酔薬 神経ブロック(無水アルコールなど) 持続硬膜外麻酔(精密持続ポンプ)、硬膜外ブロック 持続皮下注射(塩酸モルヒネなど) |
麻薬の使用法
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痛む前に使用:定刻投与・ 常時無痛 |
麻薬の副作用
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眠気:数日のみであることが多いので、最初が肝心
便秘:必ず出現するので緩下剤を併用・同時に内服 プルゼニド、アローゼンなど を併用 嘔気:セレネース(ハロペリドール) ナウゼリン・抗ヒスタミン剤 錯乱:ゆっくり増量・高齢者に注意、向精神薬を併用 |
補液・輸液
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終末期ではさほど多くの輸液やカロリーを必要としない。
持続点滴は不要。 全く輸液をしないことよりも毎日少し行った方がメリハリが利いて患者が元気になる。患者が希望しても輸液を全くしないと、患者は見捨てられたと思うことがある。
補液にはモルヒネの疼痛緩和を増強する作用がある。
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ステロイドの使用
副腎皮質ホルモン(ステロイド)はいろいろと有効で、重宝です |
鎮痛目的 :骨転移の疼痛・脊椎転移による神経圧迫 頭蓋内圧亢進による頭痛
鎮痛以外の目的: 食欲・生への意欲が増す。精神的な元気さと落ち着きが出る。 使用量 プレドニゾロン錠(5mg)1-2錠 ベタメサゾン(2mg) 1 A 筋注・静注 |
終末近くに実行すること
(死期が数日から1週間以内) |
家族に終末が近いことを告げ、その際の覚悟を促す 死後の手配についても用意しておくように説明する
会うべき人に会わせておく。 急変の可能性と延命処置について取り決めしておく。このことは一見なんでもないようですが、ここをきちんと決めておかないと後でなかなかやっかいな事態になることもあります。
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以上のことを当院では、外来・入院・在宅で行っております。本当にお役に立てたのか、これで良かったのか、
自己満足で終わっていないか、等々考えながらも、毎日緩和ケアを行っております。
参考図書
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1. 松本勲:痛みの対策と治療、メディカルコア社、1997 2. 疼痛コントロールのABC;日本医師会雑誌特別号生涯教育シリーズ、1998 3. 岡崎寿美子編著:看護診断にもとづく痛みのケア、医歯薬出版社、2002 4. 淀川キリスト教病院ホスピス編:ターミナルケアマニュアル、第3版最新医学社、1997 5. 国立がんセンター薬剤部編著:モルヒネによる癌疼痛緩和、ミクス社、1997 6. 福井・高木:痛み治療マニュアル、三輪書店、1996 7. 阿部薫:フローチャートで学ぶ緩和ケアの実際、南江堂,1999 8. 舘野政也:症例から学ぶ緩和ケアの実際、メディカ出版、1996 9. キューブラー・ロス:死ぬ瞬間、鈴木晶訳、読売新聞社、1998 |