癌の告知について
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以前から、いまりクリニックでは原則として以下のような方法で告知を行っております。
患者本人が自分の病気のことを知りたいという希望があれば、真実をお伝えしようと思います。
告知については、いまだ決まった法則はないようですが、これからいろいろ経験をふまえて
日本での風土・風習に会うように体系立てられるでしょう。

いまりクリニックの考え:
癌の告知については以下のように考えております

病気の治療のためには医療者(医師・看護婦など医療に携わる人と言う意味です)と患者との良好な信頼関係が必要です。特に癌のような慢性疾患ではなおさら必要です。そのために医療者は正しい情報を報告すべしと存じます。医療者は患者さんの診察、検査、治療をする以上、判った事実・結果 を正しく報告し、説明することはあたりまえと思います。


まず本人の希望を聞く
希望される方には病気のことをはっきりと報告します。

いまりクリニックでは、検査前や入院直後などに、まえもって患者さん本人にどうしたいのかという気持ちをお尋ねしております。すなわち、事前に患者さん本人が告知を希望され、家族も同意された場合には検査結果 をはっきりとありのままに報告します。患者さんが本当のことを聞きたくない場合には御家族の方にのみ結果 を報告して、患者さんには報告しませんが、この場合でも適切な治療は速やかに開始しております。


告知の目的

いまりクリニックでは病気の治療のために良好な医療者ー患者間の信頼関係が必要と存じます。特に癌のような慢性疾患で、かつ生命の予後に直接関わる病気では、特に良好な信頼関係が必要です。患者は症状や経過について真実を話し、医療者は診察・検査結果 について真実を話し、そこから今後の治療方針等が決定されて、治療が可能となります。ところが、どちらかあるいは両方が事実を話さないのであれば、もしも嘘とわかったとき今までのことすべてが疑心暗鬼となり、治療どころではないと存じます。

いくら真実を話さなければならないといっても、あまりにもあからさまに申し上げることは時と場合によっては、良くないことが往々にしてございますので、そこは考えて申し上げております。癌の告知に伴うショックをある程度和らげては指すように常に心がけております。

一般的には、告知をする目的としては、次のことが言われています。(文献5.6.)

1. 患者は真実を知ることができるということのため:逆に言えば、医師は真実を告げねばならないということ。
2. もめごとを避けるため:あとで患者が真実を知ってこじれることがある、この場合は家族同士の争いにもなりうる
3. 中途半端に知っている場合:正しい情報を与える
4. 嘘に耐えかねて:医師や周囲の家族が本人に対して良心の呵責を感じる、
5. つらい治療に耐えるため:何のためにこんなひどい治療を受けるのかが判らないと、やってられない
6. 財産や仕事のけりをつける:本人が何も知らなくてそのまま死亡すると、残された遺族が大変困ることになる場合が多い。
7. 生き方を変える:患者本人だけでなく周囲に影響が大きい


告知の方法

患者さん本人と配偶者や親子と一緒に、主治医または院長が看護婦と共に病名などを詳しく説明し、質問にお答えします。
つまり、 癌の病名、進行具合、このまま放置した場合のおおよその経過、治療法について、本人を交え家族と共に話します。

告知のショックを和らげるように、説明はなるべく明るいうちに行い、その日はなるべく家族と一緒に居れるように、外出・外泊していただきます。こうして家族と今後のことを相談することができるだけでなく、その夜は自分一人で寂しく悩まないように配慮いたします。

個人差を考慮して、本人に応じて話しております。つまり、明らかに告知が無理であろうと思われる場合は、はじめから告知していません。あるいは、まだ癌になりつつあって、全部は癌化していないが、このまま進行すれば癌になるかもしれませんので今のうちに治療をしましょう。というように、抑えて説明しております。
痴呆の方や理解に乏しい方にはもともと告知と言うことが無意味ですので、告知をしておりません。


 告知後のお世話

告知後からすべてが始まります。告知しておしまいではなく、それからは患者さんの闘病に際して、できるかぎりの緩和ケアと協力を外来、入院、在宅で行います。


 文献(書籍)

1. 竜・寺本:がん告知、医学書院、2001

2. 舘野政也:症例から学ぶ緩和ケアの実際、メディカ出版、1996

3. 淀川キリスト教病院ホスピス編:ターミナルケアマニュアル、第3版最新医学社、1997

4. 阿部薫:フローチャートで学ぶ緩和ケアの実際、南江堂,1999

5. 飯島克巳:患者対応学、永井書店、1998

6. 村上国男:癌告知の理論と実際、癌と化学療法13:2693-2698,1986

7. E.キューブラー・ロス:死ぬ瞬間、鈴木晶訳、読売新聞社、1998

 

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