腎癌(腎臓癌)/泌尿器科いまりクリニック、佐賀県伊万里市
腎癌

 腎臓にできる癌で、腎癌と言われます。腎実質由来の悪性上皮性腫瘍のことで、WHO(世界保険機構)の分類では、腎細胞癌、集合管癌(Bellini管癌)、透析腎癌に大別されます。さらに腎細胞癌は以下の6型に分類されます。すなわち、透明細胞癌、顆粒細胞癌、嫌色素細胞癌、紡錘細胞癌、嚢胞随伴性細胞癌、乳頭状腎細胞癌です。このうち80%が透明細胞癌です。

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 腎癌の症状(相当進まないとどうもなかばい)
初期
特になし
中期

血尿

大きくなった腫瘍そのものによる腹の突っ張り・張った感じ

末期
癌の転移・浸潤による痛みなどの症状:全身の骨やリンパ節などに転移し、癌性疼痛(とても痛い)・貧血・病的骨折などを生じます。
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 腎癌の診断と検査

 検査:検査は、検尿、超音波、腎盂造影、CT、MRI、動脈造影などです。まずはこれらの画像検査などで腫瘍を発見することですが、それだけでは100%の確定診断ではありません。やはり腫瘍そのものを病理組織標本として顕微鏡検査で組織を観察して初めて腎癌が判ります。

 告知について:泌尿器科いまりクリニックでは患者さんに検査前に希望をお聞きしております。すなわち、事前に患者さん本人が告知を希望され、家族も同意された場合には検査結果 をありのままに報告します。患者さんがあまり本当のことを聞きたくない場合には家族にのみ結果 を報告して、患者さんには報告しませんが、この場合でも適切な治療はどんどん開始しております。

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 腎癌の大きさや進行具合を調べる検査

画像診断として

経静脈性腎盂造影、腹部超音波検査、CT、MRI

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 腎癌の治療

薬物治療:
インターフェロン
サイトカイン
分子標的治療薬

残念ながら今のところ根治と言うことに関してはほとんど効果はありません。しかし、最近の新しい抗癌剤、分子標的薬では、進行した腎癌でも延命効果が出てきています。

2008年の米国臨床腫瘍学会の報告では、進行腎癌の平均非進行期間は、緩和ケアのみでは2.5ヵ月、インターフェロンαのみでは3.5ヵ月、インターフェロンα+インターロイキン2+5FUでは5.3ヵ月、Temisirolimus(日本未発売)では5.5ヵ月、ソラフェニブ(商品名ネクサバール)では5.7ヵ月、Bevacizumab(日本未発売)+インターフェロンαでは8.5から10.2ヵ月、スニチニブ(商品名スーテント)では11.0ヵ月。これは以前の成績から比べると進歩しているようです。さらに、進行腎癌の平均生存期間は緩和ケアのみでは10ヶ月以下、スニチニブ内服では26.4ヵ月。平成20年から日本でもソラフェニブ、スニチニブが保険適応になった。

さらに平成22年からはmTOR標的、分子標的治療薬であるエベロリムスと、テムシロリムスが保険適応になり、わずかですが治癒した症例も出現してきました。しかし、これらの薬剤は副作用が強いことも有り、口内炎、肺炎、肝炎の増悪などに用心して使用する必要があります。

放射線治療
粒子線治療

手術治療ができない場合に行われていますが、最初から治療の第一選択となることもあります。骨転移の疼痛緩和として行われますが、癌の予後そのものの改善までは至っていないようです。

腎癌に対する重粒子線(炭素イオンを加速した炭素線)治療について、平成23年度日本泌尿器科学会で、放射線医学研究所重粒子医学センターでは11例の腎癌平均年齢64歳に対して治療し、5年間の局所制御率(つまり腎臓にある腎癌そのものが大きくならなかったこと)は88.9%、2例に肺転移があるが生存中で、他病死の2例以外死亡は無かったと報告している。かなり有効な治療と思います。

小さい腎癌に対する手術以外の方法:経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)
凍結療法 Cryoabulation

経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)では、腎癌43人に行い、3センチ以下の小さな腎癌では治癒率が93.8%で、非常に良好な成績であった。3センチ以上では治癒率が63.6%であった。合併症は非常に少なくまた軽度であった。1人に再発が有ったが、再度の焼灼で治癒した。以上は平成23年度日本泌尿器科学会で京都府立医科大学、本郷文弥等が報告。しかし、この治療法は現在(平成23年7月)高度先進理容として認可されているが保険が効かない。

凍結療法 Cryoabulationはアルゴンガスを用いた治療器が薬事承認を得たのみで、保険適応はまだ無い(平成23年7月)。

手術
根治的腎摘出術:腎臓を被膜とともに摘出し、さらに腎動脈から大動脈周囲のリンパ節摘出(廓清)術を行います。ただし癌の進行が少なく、被膜を越えていないことが条件です。比較的小さな腎癌では腎臓の一部を摘出する部分切除での生存率も向上しているようです。

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