往診、訪問看護を通して、患者のご家庭で医療や看護を行うことを在宅医療と言います。
泌尿器科いまりクリニックでは在宅医療を行っております。介護保険が成立し、入所・通 所介護が盛んですが、介護保険本来の目的は在宅での看護・介護を目的としたものです。
当院では普通の在宅医療に加えて、癌末期の在宅医療にも以前から取り組んでおります。

在宅末期医療の目的

緩和ケア中心の医療と看護・介護を行う。 緩和ケアを通して、痛みや不安をできる限り少なくし、尊厳のある安らかな最期を迎えるように患者本人と家族の援助を行う。 当院にできる最大限の緩和ケアを行う。


在宅末期医療の必要条件

家族の協力と理解 :特に配偶者、親子
緩和ケアの充実と患者の安寧:患者の痛みや苦痛が強ければ家族はやってられない
患者の安らかさによって得られる家族の安心
診療所の24時間在宅支援体制 いつでも入院可能であること

 

当院では在宅医療にも力を入れております。そのなかでも癌末期患者に対する緩和ケアを在宅にて行っております。 その成果をまとめて、平成12年5月18日に福岡市で開催された第13回老人泌尿器科研究会で発表し、医師部門で会長賞をいただきました。その時の講演予稿原稿は以下のとおりです。
演題
泌尿器癌の在宅末期医療の経験
所属:泌尿器科いまりクリニック
小嶺信一郎、木下徳雄、大江美子、吉田和子、岩永範子、犬山尚子、野中直美
本文
平成7年から平成11年までに11例の男性老人癌患者に対し家族の希望を受けて、在宅末期医療を行い、全例自宅で家族の看病を受けながら亡くなった。症例は平均年齢70.2±6.4才、主病は前立腺癌9例、胃癌と直腸癌の尿路への浸潤転移各1例、癌の告知は5例に行い、在宅医療開始から死亡までの平均2.8±4.3カ月、その間7回から101回、平均36回訪問し、全例に対して疼痛をコントロールし、死亡まで末期を看取った。死亡前1カ月の訪問回数は6から33回で平均19回、死亡前1週の訪問回数は3から13回で8.3回であった。全例に癌性疼痛があり、何らかの鎮痛処置を行い、MSコンチンは9例に使用し、神経ブロック2例、持続硬膜外部ロックは2例に行った。癌性疼痛に対してはその他に、ボルタレン坐薬などの消炎鎮痛剤、レペタン坐薬、ペンタゾシン筋注、三環系抗鬱薬、抗てんかん剤や安定剤などをふんだんに使用し、本人と家族の緩和ケアに努めた。在宅末期医療を最後まで実行するためには本人に充分な緩和ケアを行い、かつ必要なときに往診や訪問看護ができ、家族や介護人が安心して看病できるような体制を常備するように努めた。

        
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