色絵幾何学文台鉢(古九谷様式) |
出土遺跡:山辺田遺跡A地点 |
今回ご紹介するのは、新たに山辺田遺跡で出土した古九谷様式の色絵陶片である。 |
(内面) |
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(外面) |
◆ 素地の特徴 |
(断面) |
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◆ 文様の特徴 |
(内面拡大) |
(外面拡大) |
内面には、見込みに緑絵具で家屋状の文様が描かれるが、剥落しているため明確ではない。見込みの周囲には、八角形の色絵線一本とその外側に帯を巡らし、四方襷文で埋めている。この帯に塗られた色は黒っぽく変色しているが、よく観察すると元は青絵具であったことが分かる。また、口縁部は窓絵状に区画し、中を地文で埋め、その上を上絵具で塗りつぶしている。区画内の文様としては、青海波と四方襷文らしいものが確認でき、塗りつぶしている絵具は、緑と青が確認できる。 |
外面は胴部と底部の境に二重の染付圏線を巡らしており、胴部には上絵で唐草文が描かれている。この唐草文も一見黒色に見えるが、よく観察すると青色である。また、すでに上絵具が剥落しているが、左側の唐草の先端部には、花らしい文様も描かれている。高台は基部しか残っていないが、外面は黒絵具を用いた七宝繋ぎ文で埋められており、その上を黄色で塗りつぶしている。 |
ま と め |
この陶片は素地などの特徴から見て、山辺田窯の製品と考えてまちがいない。製品の分類としては、色絵古九谷様式の中でも一般的に「幾何文手」と称されているものであり、主として内面に亀甲状の幾何学文様を描くこと、外面に青上絵具を用いた唐草文を巡らすことなどが特徴である。こうした幾何文手の台鉢は伝世品もいくつか知られているが、内外面の文様パターンや素地などはすべて今回の出土資料と類似している。よって、山辺田窯の中でも、おそらく同じ窯で生産された製品である可能性も高く、これまでの出土資料の中では、7号窯製品として紹介されているものと最も共通性が高い。生産年代としては、これまでの研究成果から1650年前後と推定される。 |
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