人間に自己中心の欲がなかったら、戦争をして人間どうしがお互いに殺しあいをするような愚かなことはしないでしょう。
智慧がないばかりに、また自己中心の心を離れることができないばかりに、われわれは数限りない問題をかかえ、苦悩の淵に沈んでいるのです。
仏教の目的は智慧をみがき、自己中心の欲、つまり煩悩をなくすることにあります。
すなわち仏になることです。
そのために釈尊は、その生涯に多くの経を説かれました。
相手に応じていろいろ説かれたので八万四千の法門ともいわれます。
ところが親鸞聖人はそのなかから、とくに『仏説無量寿経』(大無量寿経または大経ともいう)を取りあげて「これこそまことの教えである」といわれました。
それではこの経が、まことの教えであるといわれるのはどういうわけでしょうか。
つづく